空き家引き取りサービスのおすすめは?利用時の注意点も解説

弁護士 有資格者

山内 英一

空き家引取サービスとは 不動産の相続

近年、空き家問題が深刻化する中、「売れない」「管理できない」「維持費がかかる」などの理由から、空き家を手放したいと考える人が増えています。

そんな中で注目を集めているのが「空き家引き取りサービス」です。

本記事では、このサービスの概要から利用事例、信頼できる業者の紹介、さらには注意点までを網羅的に解説します。空き家を処分したい方はぜひ最後までお読みください。

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1. 空き家引き取りサービスとは?

不動産引取りサービスとは

空き家引き取りサービス(不動産引き取りサービス)とは、手放したいけど買い手がつかない空き家を、一定の費用を支払うことで専門業者が引き取ってくれるサービスです。

通常の不動産取引では、立地や建物の状態が売却価格に大きく影響します。しかし、老朽化が進んでいたり、過疎地域にある空き家は、いくら価格を下げても買い手が現れないケースが少なくありません。そのような「負動産」に対し、所有者が費用を支払う形で処分することを可能にしたのが、空き家引き取りサービスです。

このようなサービスを利用することで、固定資産税や維持管理の手間から解放されるほか、倒壊などによる法的リスクも回避できます。また、業者によっては建物の解体や登記手続きの代行も含めて対応してくれるため、安心して任せられます。

ただし、一般的な「売却」や不動産会社による「直接買取」とは異なり、悪徳業者による高額請求や引き取り後の不動産の放置といったリスクやトラブルに注意する必要があります。

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2. 空き家引き取りサービスの利用事例

空き家引き取りサービスは実際にどのように使われているのでしょうか。代表的な利用事例を見てみましょう。

事例1:遠方にある実家を引き取ってもらったケース

東京在住のAさんは、九州の山間部にある実家を相続。しかし現地に戻る予定もなく、老朽化が進んでいたため、地元の不動産業者にも売却を断られました。そこで、空き家引き取りサービスを利用し、80万円で処分。結果的に、固定資産税の支払いも不要となり、精神的な負担からも解放されました。

事例2:売却に2年以上かかった物件を早期に手放したケース

大阪のBさんは、市内から離れた空き家を2年以上不動産サイトに掲載していましたが、問い合わせはゼロ。空き家引き取りサービスを利用することで、解体・登記手続き込みで120万円で引き取ってもらうことに成功しました。

事例3:隣地トラブルを未然に防ぐために処分したケース

老朽化により外壁が崩れかけていた空き家を所有していたCさんは、近隣住民から苦情が入り始めたことをきっかけに、トラブル回避のためサービスを利用。90万円を支払って引き取ってもらい、周囲との関係も良好に保たれたといいます。

このように、空き家引き取りサービスは、所有者の生活状況や物件の立地・状態に関係なく、柔軟に対応してくれる手段として重宝されています。

3. 安心して利用できる空き家引き取りサービス【おすすめ】

空き家引き取りサービスは年々増加していますが、中には悪質な業者も存在します。ここでは、安心して依頼できる信頼性の高い事業者をご紹介します。

(1)株式会社WindHole不動産

運営会社株式会社WindHole不動産
(ウィンドホール不動産)
本社所在地東京都港区麻布台1-11-10
日総第22ビル6階
創業2024年
主な対応エリア全国
対応可能な取引有償引き取り
宅建番号東京都(01)第111331号
電話相談0120ー129ー013

地方に残ってしまった古い空き家など、一般的な不動産会社にお願いしても売れる見込みのない物件をお持ちの方は少なくありません。

「そのまま放っておいても維持管理費用や税金がかかり続けるし、解体しようにも高額な解体費用がかかってどうしようもない・・・」というお悩みを解決するために、株式会社WindHole不動産は、空き家を引き取るサービスを展開しています。

例えば、解体費用よりも安い費用を支払えば、売れる見込みのない空き家を引き取ってもらうことが可能です。

メリット① 様々な物件に対応
老朽化した築古物件や再建築不可の物件、事故物件、家財が残ったままの物件など、様々な物件の取引に対応。どのような物件でも条件の提⽰をしてもらえます

メリット② 母体組織が法律事務所なので安心
最大の強みは、母体組織が法律事務所であり、安心して任せられる点。弁護士が株式会社WindHole不動産の代表・副代表を務めています。

メリット③ 面倒な作業もすべてお任せ
不⽤品の撤去や庭⽊の処分、登記⼿続きなどの面倒な作業もお任せ可能。複雑な権利関係にある物件についても法律事務所と連携して対応してくれます。

戸建てとアパート、マンションなどが主な対象となります。ただ、その他の物件でも引き取ってもらえることがあります。

一般的な不動産会社にお願いしても売れない物件をお持ちで処分にお困りの方は、まずは無料の買取査定から始めてみましょう。

(2)株式会社AlbaLink

訳あり物件買取プロ
運営会社株式会社AlbaLink
本社所在地東京都江東区富岡2-11-18 リードシー門前仲町 6F
創業2011年
主な対応エリア全国
対応可能な取引空き家の買取、有償引き取り
宅建番号東京都知事(2)第92710号

空き家などの売れない不動産の買取では多く実績がある株式会社AlbaLinkですが、不動産の有料引き取りも行っています。厳しい審査を乗り越える必要のある上場企業である点も安心できるポイントです。

買取も引き取りも対応してくれますので、まずは無料の買取査定から始めてみて、値段がつかなければ引き取りについても相談してみると良いでしょう。

(3)株式会社KLC

運営会社株式会社KLC
本社所在地〒107-0052 東京都港区赤坂四丁目13番5号赤坂オフィスハイツ18号室
創業2014年6月4日
主な対応エリア全国
対応可能な取引遊休不動産の直接買取、有償引取
宅建番号東京都知事(2)第102692号

株式会社KLCは、遊休地・負動産の専門会社です。放置された山林や別荘地、耕作放棄地となった農地など、「不動産会社でも手を出せない不動産」に特化して、不動産の引き取りや販売を行なっています。

不動産の中でも、山林や農地に特化した引き取りサービスを展開していますので、使い道のない地方の土地や、かつて原野商法等で取得してしまい、手放せずにいる山林などを所有している方におすすめです。

(4)Landlssues株式会社

運営会社Landlssues株式会社
本社所在地東京都千代田区九段北4-3-26 N-crossKUDAN6階
創業2020年5月
主な対応エリア全国
対応可能な取引不動産の有償引取
宅建番号東京都知事

Landlssues株式会社は、山林だけでなく、私道や沼地といった全種類の土地の取引に対応してくれます。利用可能な建物がある場合は、そのまま引き取りが可能です。

  • 全国に土業ネットワークがあり、引き取り時の税務や法務の相談やサポート体制完備
  • 所有者が高齢のとき、家族情託や後見制度について提案とサポートが可能
  • 相続土地の国庫帰属制度のサポートや、通常の不動産査定も可能

上記のように、サポートが手厚い点も嬉しいポイントです。

(5)株式会社EINZ

運営会社株式会社EINZ
本社所在地〒150-0043 東京都渋⾕区道⽞坂1-18-8 道⽞坂プラザ仁科屋ビル 401
創業2012年4⽉2⽇
主な対応エリア東京・神奈川・千葉・埼玉・群馬・栃木・茨城・静岡・山梨・新潟・富山・長野・石川
対応可能な取引トラブル不動産や共有不動産の直接買取、有償引取
宅建番号東京都知事(3)第97527号

山林や宅地などの売れない不動産の引取実績が豊富な「株式会社EINZ」。基本料金39万8000円〜(税込。東京・神奈川・埼玉・千葉の場合)など、費用を明確にしている点も好印象です。

(6)恵比寿商会株式会社

運営会社恵比寿商会株式会社
本社所在地東京都渋谷区広尾5-19-1
創業
主な対応エリア全国
対応可能な取引不動産の有料引取
宅建番号東京都知事(1)第104169号

北は北海道の原野商法で騙られた土地から、鹿児島県の山林まで対応。古家付きの別荘地などの建物つきの物件も引取可能です。

(7)一般社団法人日本土地管財

運営会社一般社団法人日本土地管財
本社所在地〒546-0014
大阪市東住吉区鷹合2丁目12番19号
創業
主な対応エリア全国
対応可能な取引不動産の有料引取
宅建番号

「土地放棄の相談窓口」との名称で不動産有料引取サービスを展開する一般社団法人日本土地管財。日本全国どこの不動産でも対応してくれ、契約は全て郵送で行うこともできます(訪問も可能)。

(8)やまねこ不動産株式会社

運営会社やまねこ不動産株式会社
本社所在地〒814-0005
福岡市早良区祖原16番15号 エステート西新106
創業2017年
主な対応エリア全国
対応可能な取引不動産の直接買取、有償引取
宅建番号福岡県知事(1) 19598
加盟団体

公益社団法人 福岡県宅地建物取引業協会

やまねこ不動産は、2017年に、日本で初めて土地の所有権放棄サポートサービスをスタートさせました。売れない、寄付できない、放棄できない不動産を引き取ってくれます。

(9)合同会社新翔

運営会社合同会社新翔
本社所在地東京都渋谷区道玄坂二丁目18番11号
サンモール道玄坂516号
創業
主な対応エリア全国
対応可能な取引不動産の直接買取、有償引取
宅建番号

書類での契約締結が可能で、利用者側で所有権の移転登記の完了をご確認でき次第、料金を振込むという流れ。最短2週間で手続き可能です。

(10)メディコム株式会社

運営会社メディコム株式会社
本社所在地大阪府大阪市浪速区稲荷1丁目7-31
Casa Y Nanba 401号室
創業
主な対応エリア全国
対応可能な取引不要な山林の有料引取
宅建番号

YAMAKASは、買い手のいない山林を有料で引き取ってくれるサービスです。引き取った山林は、ソロキャンパー用のレンタル地として第三者に貸し出すなどして再利用しているとのこと。

(11)負動産王.com

運営会社株式会社ツインL
本社所在地〒108-0014
​東京都港区5丁目30-5 岩永ビル2F
創業
主な対応エリア全国
対応可能な取引
宅建番号

不動産引き取りサービス「負動産王.com」は、処分したくても売ることができない不動産を引き取ってもらう際の金額を一括査定で簡単に調べることができるサイトです。

「引取業者がたくさんあって、どこに相談すれば良いか迷ってしまう」という方は、一括見積もりを利用し、各社の提案を比較検討すると良いでしょう。

(12)手放し負動産|株式会社ミライエ

運営会社株式会社ミライエ
本社所在地〒110-0015
東京都台東区東上野1-13-2
ヒロマルビル6階
創業
主な対応エリア全国
対応可能な取引不動産の有料引取
宅建番号東京都知事 (3) 第93231号

任意売却実績3,000件以上等、不動産取引について確かな実績を持つ株式会社ミライエ。不要な別荘や相続した土地を有償で引き取ってくれます。

費用は、29万8000円〜と、同様のサービスの中ではリーズナブルな価格設定。業界最安値に挑戦する企業です。

(13)リクレイム合同会社

運営会社リクレイム合同会社
本社所在地広島県福山市御幸町大字上岩成660番地2
創業
主な対応エリア全国
対応可能な取引土地の有償引取
宅建番号

リクレイム合同会社は、主に、山林や原野商法で購入した土地を対象として、有償引き取りを行っています。調整区域の田・畑は、地目変更が可能な土地のみ引き取り可能とのこと。

ホームページ内で、

建物付土地も対応可能ではございますが、高額となり近隣の不動産会社様へ依頼なされた方がよいかと思います。

と明示するなど、取引に対する誠実な姿勢が窺われます。

(14)トーア住販株式会社

運営会社トーア住販株式会社
本社所在地〒188-0011
東京都西東京市田無町5丁目4番1号
創業
主な対応エリア全国
対応可能な取引不動産の買取、有償引取
宅建番号東京都知事(6)第75359号

”引き取り金額はお客様とご相談の上で取り決める”という柔軟性が売り。目安として、解体見積りの半値相当額で引き取ってもらうことができます。

加盟団体

公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会
公益社団法人 東京都宅地建物取引業協会

(15)不要不動産・訳あり不動産相談センター|株式会社エステートライフ

運営会社株式会社エステートライフ
本社所在地〒112-0002 東京都文京区小石川2-7-1富坂上ビル2階
創業平成25年12月
主な対応エリア東京都、神奈川県
対応可能な取引不動産の直接買取、有償引取
宅建番号

株式会社エステートライフは、司法書士が運営する不動産会社で、任意売却や相続を専門に取り扱っている会社です。中には、実態の有無すらわからないような会社も存在する中で、しっかりと士業の先生が運営されている点は安心感に繋がるでしょう。

加盟団体

公益社団法人 全日本不動産協会
公益社団法人 不動産保証協会
一般社団法人 任意売却支援機構

4. 空き家を放置すると危険な理由

売れない空き家をそのまま放置しておくとどのようなリスクがあるか再確認しておきましょう。

代表的なリスクは下記のようなものです。

空き家を放置した際のリスク
  • 固定資産税が約6倍に跳ね上がる可能性
  • 物件の維持管理費用がどんどん積み重なっていく
  • 近隣トラブル、損害賠償責任が発生する可能性 等

(1)固定資産税が約6倍になる可能性

空き家を放置すると「特定空家等」に指定される可能性があります。

「特定空家等」とは、そのまま放置すると、倒壊や劣化による危険性、衛生上の問題、景観を著しく損なう状態など、周辺の生活環境を保全する上で不適切だと判断される空き家のことです(空家等対策の推進に関する特別措置法2条2項)。

特定空家等に指定されると、住宅用地として固定資産税の軽減措置を受けられていたものが解除され、課税額が約6倍に跳ね上がる可能性があります。

なお、建物を解体して更地にした場合も、固定資産税の軽減措置が解除され、同じく課税額が約6倍に跳ね上がる可能性があります。

【気付けば500万円も出費していた具体的な事例】
相続で実家が空き家になったものの、「いつでも実家を見られるように」と考えて、水道や電気を止めずに田舎の実家を管理。水道代や電気代、固定資産税、火災保険などで年間約20万円。定期的に草むしりや掃除をしに田舎に帰っていたため、新幹線代等の交通費が年間数万円。途中から草むしり等の作業が体力的にきつくなり、草木の手入れは外注に移行。そうした状態を続けていくうちに、あっという間に10年ほど経ち、振り返ると500万円程出費していました・・・。

(2)近隣トラブル・損害賠償のリスク

空き家を放置すると、建物の老朽化によって瓦や外壁が落下するなどして、通行人に怪我を負わせたり、隣家に被害を及ぼしたりする可能性があります。

空き家発生による外部不経済の損害額の試算結果(その2)
公益財団法人日本住宅総合センター「 空き家発生による外部不経済の損害額の試算結果(その2)

例えば、家屋の倒壊により隣接家屋が全壊し、家屋の居住者3名が亡くなった場合、損害額は2億円になるという試算が出ています。

また、建物がない山林などについても、自然災害による崖くずれなどが発生した場合には、基本的には土地所有者の費用と責任で土砂を撤去する必要があります。その金額は、数千万円に上ることも考えられるでしょう。

さらに、死亡事故や大災害に繋がらなくとも、雑草の繁茂や害虫・害獣の発生、ゴミの不法投棄といった問題も発生しやすく、近隣住民から苦情を受けることは十分に考えられます。

特に都市部や住宅地では近隣との距離が近いため、トラブルが拡大しやすく、放置は大きな危険を伴うと考えた方が良いでしょう。

5. 空き家の処分方法を再確認

空き家を処分する方法は「不動産引取りサービス」の一択ではありません。いらない不動産の代表的な処分方法について再確認しておきましょう。

(1)仲介で売却

最も一般的な方法は、不動産仲介業者を通じて売却することです。仲介による売却では、市場価格に近い形で取引できる可能性があるため、経済的なメリットは大きいといえます。

不動産に需要があるのであれば、仲介による売却をすることを優先した方が良いでしょう。

「売れるのかどうか見当もつかない」という方は、まずは不動産の無料一括査定から始めます。実際は売れる物件なのに「絶対に売れない」と思い込んでしまっている方も少なくありませんので、まずは複数社に査定を依頼し、客観的な価値を見極めることが重要です。

▼実績のある一括査定サービスはこちらの記事で紹介しています!

ただし、築年数が古く需要が少ないエリアでは、買い手が見つからず売却までに長期間を要することもあります。この記事をご覧になっている方も、「売れないからこそ困っている」のではないでしょうか。

なお、仲介での売却活動には広告や内見対応といった手間もかかるため、すぐに現金化したい場合や維持管理の負担を軽減したい場合にも不向きです。

(2)事業者による直接買取

仲介と直接買取の比較

不動産会社や専門業者による「買取」は、仲介よりも早く現金化できる点がメリットです。

仲介では買主が見つかるまで時間がかかりますが、買取なら業者が直接購入するため、数週間で手続きが完了することもあります。室内の不用品も含めて買取してくれる事業者であれば、片付け・ごみ処理も不要です。

また、直接買取の場合、多くの事業者は、不動産に不具合があった場合の売主の責任を免除してくれますので、築年数が古い物件や訳あり物件を手放す際にも適しています。

ただし、仲介での取引と比べると、市場価格よりやや低めの金額での取引になるのが一般的です。

不動産を買い取った事業者は、独自のノウハウで清掃・リフォームして活用したり、独自のルートで再販売するなどして利益を上げるのが一般的です。

(3)空き家を解体処分

倒壊等の危険を回避するために、建物を解体して更地にする方法もあります。更地にした後は、売却したり、後述の相続土地国庫帰属制度を利用して手放すことが考えられます。

ただし、空き家を解体するには数百万円の費用がかかるのが一般的です。最近は解体工事にかかる費用も上昇傾向にあるため、戸建ての解体で300万円〜500万円の見積もりを提示されることも珍しくありません。

また、更地にすると、住宅があったことで恩恵を受けられていた固定資産税の軽減措置が外れる点にも注意が必要です。これにより、固定資産税が最大6倍近くまで増加する可能性があります。

(4)相続土地国庫帰属制度で国に返還

2023年からスタートした「相続土地国庫帰属制度」を利用すれば、相続した土地を国に返還することができます。

ただし、その名のとおり、”土地”が本制度の対象であり、建物は引き取ってもらえません。また、全ての土地が対象になるわけではなく、管理困難な土地などは対象外とされます。

相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、例えば次のような土地です。

  • 建物が存在しない土地(建物がある場合は先に取り壊す必要があります)
  • 担保権や使用権が設定されていない土地
  • 通路や他人の土地を通らなければ行けない「袋地」ではない土地
  • 他人の土地の利用を妨げない土地
  • 通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかからない土地

つまり、管理の手間やトラブルの可能性が低い、いわば「手間のかからない土地」であることが条件なのです。

(5)無償譲渡・寄付

自治体やNPO法人に無償で譲渡・寄付する方法もあります。特に、地域活性化の観点から空き家の受け入れを進めている自治体もあり、条件が合えばスムーズに引き渡せるケースもあります。

ただし、全ての自治体が受け入れに積極的ではないため、事前に受け入れ先を探す手間がかかります。

また、各自治体や民間事業者が、0円(無償譲渡)の空き家情報を扱うプラットフォームを運営していることもあります。例えば、移住者を積極的に受け入れて不動産の活用を促す目的で、「◯◯市空き家バンク」等の名称で運営されます。

このように、お住まいの地域のプラットフォームを利用することで、マッチングした相手に不動産を譲り渡せるケースもあるでしょう。

もっとも、寄付を受ける側も、使い道がなかったり、管理や解体に費用がかかったりする物件を取得したくはないので、物件の条件によっては現実的な手段ではありません。

(6)相続放棄

相続発生時に空き家や不要な不動産を引き継ぎたくない場合には、相続放棄という方法があります。

相続放棄をすれば、初めから相続人ではなかったことになり、空き家を含めて一切の資産や負債を引き継がずに済みます。

ただし、相続放棄には家庭裁判所への申述が必要であり、期限も相続を知った時から3ヶ月以内と定められています。

何より、相続放棄は一部の遺産だけ選んで手放すことができません。不動産を手放すのであれば、その他の遺産(例えば、現預金や株式等)も全てを放棄することになります。

法定相続人全員が相続放棄をし、不動産の相続人が居なくなった場合であっても、その不動産を「現に占有」している人は、不動産を保存する義務を負い続けることになっています。所有者のいない不動産は最終的に国庫に帰属されますが、その手続きをするまでは、誰か必ず管理しなければならないためです。所有者のいない不動産を国庫に帰属させるためには、家庭裁判所に相続財産精算人の選任を申し立てなければなりません。その際、裁判所に支払う予納金(約40万円~100万円)が必要になるほか、申立てを弁護士に依頼した場合には弁護士費用(約30万円〜)が必要になります。

(7)不動産の有償引取りサービス

いらない土地や不動産を手放すための手段として検討しておきたいのが、この記事で紹介している「不動産の有償引取りサービス」です。

空き家がある場合:解体費用よりも安い金額で、かつ、面倒な手続きを丸投げして不要な不動産を引き取ってもらえる!

山林などの土地の場合:国庫帰属制度よりも安い金額で、かつ、面倒な手続きを丸投げして不要な不動産を引き取ってもらえる!

引き取り料は物件の種類や状態によって異なりますが、山林などの土地のみであれば40万円~、空き家であれば50万円〜300万円程度が相場です。事業者によって見積もり金額は異なりますので、複数の事業者に見積もりをお願いし、比較検討すると良いでしょう。

6. 空き家引き取りは悪徳業者に注意

不動産の「引取サービス」について
不動産の「引取サービス」について|国土交通省

空き家の引き取りサービスを利用する際には、悪徳業者による被害に注意する必要があります。空き家処分に困っている所有者の心理につけ込み、高額な手数料や不透明な契約を迫るケースも報告されています。

国土交通省も、不動産の引取りサービスについて「不動産の所有者のニーズに応じたものであり、通常の売買と同様に、所有権移転と金銭授受が円滑に行われる限りにおいて、特段の問題はない」としつつも、宅建業法等による規制が及ばない場合も多いと想定されることから、取引上のトラブルが注視していく必要がある旨公表しています。

最悪の場合、所有者から費用だけもらっておいて所有権移転登記を完了させないなど、詐欺的な行為をする悪徳業者が登場することも予想されるため、本記事でご紹介しているような、安心して利用できる事業者を利用しましょう。

7. 売れない空き家は引き取りサービスで賢く手放そう

空き家を放置することには、次のようなさまざまなリスクが伴います。

  • 倒壊リスクや火災リスク
  • 近隣住民とのトラブル
  • 不法投棄や不審者の侵入
  • 固定資産税・維持管理費の負担

こうしたリスクを未然に防ぐためにも、売却が難しい空き家は、早めに専門業者に相談し、引き取りを検討することが重要です。

空き家引き取りサービスは、有料ではあるものの、将来的なコストやトラブルを回避する手段として非常に有効です。信頼できる業者を選び、契約内容をしっかり確認したうえで、不要な空き家を「資産から負債に変わる前に」賢く手放すことをおすすめします。

空き家は持ち続ける時代から、「適切に手放す」時代へと変わりつつあるのです!

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