相続した土地の活用方法として選ばれることも多い「コインランドリー経営」。そんなコインランドリー経営ですが、「人件費がかからない」などの利点がある反面、失敗のリスクやデメリットも存在します。
この記事では、相続した土地の活用方法としてコインランドリー経営を検討している方のために、コインランドリー経営の基本知識やメリット&デメリット、成功のポイントなどを解説します。
※ 本記事の監修者が監修しているのは土地活用に関する解説部分であり、監修者が特定のサービスを推奨するものではありません。
1. 土地活用でコインランドリー経営をするメリットは?
土地活用には様々な方法がありますが、その中から「コインランドリー経営」を選択するメリットはどのような点にあるのでしょうか。ひとつずつ確認していきましょう。
(1)狭い土地・住居に向かない土地でも始められる
コインランドリー経営には、狭い土地や日当たりの悪い土地など住居に向かない土地でも運営できるというメリットがあります。
思うような住居を建てられない、あるいは、立地からして住居を建てても魅力的な物件にはならなそうな場合は、コインランドリーの経営も検討しみると良いでしょう。
(2)人件費がかからずランニングコストが比較的安い
コインランドリー経営では、コインランドリー業者に不動産を貸すことで発生する家賃収入、または洗濯機や乾燥機などの機器の利用料で収入を得ます。
コインランドリー経営は、自身で経営を行う場合であっても常駐する従業員は必要なく、無人でも運営できます。つまり、人件費がかからないためランニングコストを抑えやすいという特徴があります。
なお、コインランドリーの主なランニングコストは、水道光熱費や洗剤代などです。
(3)10%~15%程度の高利回りを実現できることも
土地上に新たに建物を建築する必要がない場合、コインランドリー経営の利回りの目安は10%~15%程度となります。土地活用の中でも、利回りとしては比較的高い部類に入るでしょう。
住宅街などコインランドリーの需要が高いエリアであれば、15%以上の利回りで経営できる可能性もあります。
(4)税制上の優遇措置が期待できる
一定の条件に当てはまれば、税制上の優遇措置が適用される点もコインランドリー経営の特徴です。例えば、「小規模宅地等の特例」などで相続税が減額されることがあります。
2. 土地活用でコインランドリー経営をするデメリット・リスクは?
経営には多くのメリットがある一方で、デメリットやリスクも少なくありません。具体的にコインランドリー経営のどのようなデメリットとリスクが存在するのでしょうか。順に見ていきましょう。
(1)初期費用が高め
コインランドリー経営を始めるには、初期費用として2,200万~3,300万円程度の資金が必要になります。土地上に建物がない場合は、建物の建築費用が必要になるためさらに高くなるでしょう。
駐車場・コインパーキング経営、トランクルーム経営などと比べれば、初期費用は高めです。
■初期費用の内訳(目安)
洗濯機や乾燥機などの購入 | 1,500万~2,000万円 |
内装工事費 | 500万~1,000万円 |
外装工事費 | 200万~300万円 |
もちろん、開始前の物件の状態や、コインランドリーの規模によって金額は上下しますが、ある程度の初期費用が発生することは覚悟しておく必要があります。
(2)競合店舗の出現
コインランドリー経営は、開業にあたって専門資格などは必要ありません。そのため、自身のコインランドリー経営が軌道に乗ったとしても、後から競合店舗が出現し、自身の売上が減少する可能性もあります。
出店時のみならず、経営開始後も、競合店舗にお客さんを取られないよう、差別化を意識しなければなりません。
(3)盗難等の犯罪発生のリスク
コインランドリーでは、両替機からの窃盗、忘れ物の置き引き、下着泥棒などの盗難事件が発生することがあります。
他人がそのような事件を起こしたことで経営者側が刑事責任を負うことはありませんが、対応に時間を奪われたり、お店の評判が落ちてしまって利用者が減る可能性はあります。
防犯カメラの設置や定期的な巡回など、可能な範囲で対策を行う必要があるでしょう。
3. コインランドリー経営方式は大きく4つ
コインランドリーの経営には、いくつかの種類があります。ここでは大きく4つに分類し、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
(1)自社運営|自身でコインランドリーを経営する方法
自社運営とは、コインランドリー経営で必要となる設備導入から経営まで、基本的に自力で行う方法です。
コインランドリー店舗のコンセプトや内装、料金設定などを、全て自分で考えることができるのがメリットです。
また、売り上げから経費を差し引いた利益を自分の取り分にすることができますので、上手くいけば大きな利益が期待できます。
一方で、初期費用やランニングコストはもちろん、上手くいかなかった場合のリスクも自分で負うことになります。
収益性が高い一方、経営ノウハウが全くない状態で始めるには難易度は高めといって良いでしょう。
(2)フランチャイズ運営
フランチャイズ運営とは、コインランドリーを展開する専門業者のフランチャイズサービスに加盟して経営を行う方法です。
フランチャイズに加盟することで、次のようなメリットがあります。
上記のようなメリットを享受できる一方で、加盟店は運営母体に「加盟料」や「ロイヤリティ」を支払わなければなりません。つまり、その分自分の手元に残るお金は少なくなります。
また、フランチャイズ契約には様々な取り決めがあります。契約内容を細部まで理解しておかないと、後々トラブルになったり、違約金が発生することがありますので注意が必要です。
(3)委託運営|運営をコインランドリー業者に任せる方法
委託運営とは、コインランドリーの設備や内装の準備は自身で行なった上で、運営を専門業者に任せる方法です。
オーナー(土地や建物の所有者)としては、コインランドリーの運営に費やされる自分の時間や労力を最小限に抑えられるというメリットがあります。
例えば、施設内の清掃やゴミ捨て、洗濯機・乾燥機のメンテナンス、利用者からの問い合わせ対応なども業者に任せることができます。
一方で、委託料が発生しますので、自社運営に比べれば利益率は低下します。
収益の大きさよりも、自身の本業やプライベートの時間をしっかりと確保することを重視したい方におすすめの方法です。
(4)賃貸経営|土地や建物をコインランドリー業者に貸す方法
賃貸経営とは、土地や建物の1階(テナントスペース)を業者に貸し出し、その賃料を得る方法です。
オーナーは土地や建物を貸すだけですので、経営の責任はコインランドリー業者が負うことになります。
オーナーは、コインランドリーの運営にかかる煩わしい手続きや管理業務から解放されるため、手間がかからないというのが最大のメリットです。テナントが一度出店すれば長期間の賃貸契約になりやすいため、賃料を安定的に得られる点もメリットといえるでしょう。
一方で、コインランドリーが大繁盛したからといって、オーナーの取り分も増えるわけではありません。自身が運営する場合と比べれば、収益性は低くなります。
コインランドリーの経営方式の中でも”低リスク低リターン”の方法といえるでしょう。
4. コインランドリー経営の始め方
ここまで、コインランドリー経営のメリット・デメリットや、経営方式について解説しました。
ここからは、コインランドリー経営に興味を持たれた方のために、コインランドリー経営を始めるにはどのような手続きが必要なのか解説します。
(1)専門業者へ相談する
まずは、コインランドリー経営のノウハウを持つ業者へ相談し、出店しようとしているエリアの市場調査や、収支の計画を作成してもらいましょう。
あなたが所有する不動産の立地や形状、土地活用の目的などによって、適切な経営方式も異なります。
まずはプロの意見を聞いて、具体的なイメージを膨らませることが大切です。
場合によっては、用途地域の指定による制限などで、そもそもコインランドリーが経営できない場所である可能性もあります。
また、都市計画区域外の「市街化調整区域」であっても同様です(ただし、開発条件などの例外はあります)。
コインランドリー経営による土地活用を検討する場合、所有地の用途地域、都市計画の確認が必要です。
(2)経営方法を選択する
コインランドリー経営を行う意思が固まってきたら、今度は具体的な経営方法を選びます。収益性を重視したいのか、自分の時間の確保を重視したいのかなどによって、選ぶべき経営方法も変わってくるでしょう。
可能であれば、計画段階のこのタイミングで管轄の保健所に相談してみましょう。遵守すべき決まりや今後の手続きなどについて説明してもらえると思います。
経営方法が決定したら、業者が作成した費用見積もりを確認し、内容に問題がなければ契約をします。契約完了後には、コインランドリー店舗の内装工事や機器の設置が行われます。
(3)行政機関への届け出
コインランドリー経営を始めるには、地域を管轄する保健所に対し、次の2つの届け出をしなければなりません。
- コインオペレーションクリーニング営業施設開設届
- コインオペレーション営業施設概要書
管轄の保健所によって提出する書面の内容が異なることもありますので、必ず管轄の保健所に確認するようにしてください。
自身で届け出るのが難しい場合は、専門家に代行してもらっても良いでしょう。
(4)経営を開始する
無事に届出が完了したら、いよいよ経営を開始します。不動産を貸すだけであれば特にやることはありませんが、自身で経営をする場合はここからは本番です。
コインランドリーができたことを近隣の住民に認知してもらわなければなりませんので、初期のうちは広告宣伝に注力することになるでしょう。
5. コインランドリー経営を成功させるためポイント
ここからは、コインランドリー経営を成功させるための具体的なポイントや、失敗しないための注意点について解説します。
(1)需要のある立地かしっかりと調査する
コインランドリーの経営に限った話ではありませんが、成功の鍵は何よりも立地にあると考えましょう。
相続により土地や建物を取得した場合、場所は自由に選べませんから、その場所にコインランドリーの需要があるのか、需要があるとして、コインランドリーに適した不動産なのかをしっかりと調査する必要があります。
例えば、都心部であれば住宅街からの近さ、車社会の地域の場合は活用地周辺にショッピング施設があるかといった点がポイントとなるでしょう。
逆に言えは言えば、これらの調査を十分に行わないまま、思いつきでコインランドリーを経営するのは無謀であると考えましょう。
(2)サービス内容の充実・差別化
コインランドリーは、開業にあたって専門資格が不要で、アパートやマンションの建設などと比べれば低コストで始められます。これは、ライバルの参入も比較的容易であることを意味します。
そのため、すでに競合となり得る店舗がある場合はもちろん、現時点では近隣に競合店舗が存在しない場合も、他店舗との差別化を意識する必要があります。
コインランドリーという性質上、価格で大きな差別化を図るのは難しいですから、サービス内容で差別化を図り、利用者の増加を実現しなければなりません。
例えば、次のようなポイントを意識してみましょう。
狙い | 具体的な方法 |
---|---|
待ち時間用のスペースや、適度に時間を潰せる仕組みを用意する | ・椅子やテーブルを設置する ・無料Wi-Fiを完備する ・自販機を設置する ・漫画や雑誌などを置いておく |
利用者が快適に使えるようにする | ・機器の使い方をわかりやすく掲示する ・仕上がった衣服をバッグなどに入れるための作業台を用意する ・作業台は立ったまま使える高さにする ・乾燥機から作業台まで衣服をまとめて移動できるカートを用意する |
利用者の時間を無駄にしない | ・洗濯機や乾燥機の空き状況を自宅からオンラインで確認できるシステム ・洗濯や乾燥の終了をメールで通知するシステム |
服以外のものも洗えるようにする | ・スニーカーや運動靴を洗える機器を用意する ・布団やカーテンなども洗える大型の機器を用意する |
小銭がなくても利用できるようにする | ・両替機を設置する ・プリペイドカードやキャッシュレス決済を導入する |
女性も利用しやすいようにする | ・おしゃれで清潔感のある内装 ・防犯カメラなどをわかりやすく設置する |
このように、提供するサービス内容に工夫を凝らすことで、他店舗よりも高いリピート率を実現できるかもしれません。
(3)土地活用プラン作成の依頼は複数者に依頼して比較する
コインランドリーに限らず、土地活用を検討し始めたなら、まずは所有する土地の情報をもとに、土地活用のプラン(見積もり)を作成してもらうことから始めてみましょう。
このときやってはいけないことは、「一社だけに相談すること」です。
なぜなら、各企業によって持っているノウハウや実績が異なりますし、仮に同じ「コインランドリー経営」だとしても、収支の数字が全く同じになることはないからです。
「自分の土地や目的に一番適している設計や収支計画がどれなのか」は、複数の提案を比較してみないとわからないものです。
とはいえ、複数の企業を自力で探し、一件ずつ個別に問い合わせ、毎回同じようなことを説明するのは骨の折れる作業ですよね。
そこで、土地活用の「一括プラン請求サービス」を使って、複数の大手建築会社から一度に「土地活用プラン」を入手し、比較するのです。
もちろん無料で利用できますし、何より自身の貴重な時間や労力を無駄にしないで済みます。
プランを請求すれば、該当エリアの市場調査をもとに、需要状況や適切なターゲット層の絞り込み、経営方式、収支計画を提案してくれるなど、自力では困難な作業も代わりに行なってくれます。
土地活用の最初の一歩として「一括プラン請求サービス」を使って多くの提案を受け、印象の良かったプランについてより詳しく相談していく・・・という流れで進めていくと効率的です。
検討不足のままコインランドリー経営を開始したあとに「もっと他の提案を受けておけば良かった」と後悔しないようにしてください。
6. 【無料】土地活用プランの一括請求が圧倒的に便利
「相続した土地をなんとか活用して、収益化できないだろうか?」とお考えの方は、まず専門家に相談するのがおすすめです。
初めて土地活用のことを考えたので、最初に何をすれば良いのかわからないとお困りの方も多いと思います。
そのような方は、いくら自分で考えても、時間ばかり消費してしまいます。まずは、不動産の活用について専門知識を持つプロにアドバイスを受け、自分の土地に最適な活用方法を見つけることから始めてみてください。