土地活用の相談先はどこ?適切な相談窓口を選ぶために

元弁護士

山内 英一

土地活用の相談先 不動産の相続

「土地活用をしてみたいけど、どこに相談すればいいの?」とお困りの方のために、土地活用の相談窓口について解説します。お困りごとに応じて適切な相談先も変わってきますので、この記事を読んで理解を深めてください。

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1. 土地活用の相談の流れ

一般的に、土地活用を考えたときは、次の順で各専門家に相談することになります。

【手順①】賃貸市場や不動産に関する法規制に詳しい「ハウスメーカー」や「デベロッパー」などの不動産関連会社に相談をします。初めて相談する方は、所有する土地に合った土地活用プランを提案してもらうことからスタートします。なお、一度の情報入力で複数の不動産会社に土地活用プランを一括請求できるサービスを使えば、時間や労力を節約して効率よく相談を進めることができます。

【手順②】土地活用の計画を進める中で、資金や税金に関する悩み事が生じたときは、「税理士」や「ファイナンシャルプランナー(FP)」などのお金の専門家に相談します。ファイナンシャルプランナー、土地活用プランナーなどの専門家は、ハウスメーカーやデベロッパーなどから紹介してもらえることもあります。

【手順③】土地の相続や売買など、法的な問題が生じたときは、弁護士等の法律の専門家に相談します。所有権移転登記などをする場合には、登記の専門家である司法書士に相談します。

ここからは、各相談先の特徴や相談すべき場面についてさらに詳しく解説していきます。

2.土地活用の相談先一覧表

◼️お悩みの種類と適切な相談先【一覧表】

お悩みの種類相談先
・土地の需給・家賃水準などのマーケット状況を知りたい
・その土地で建てられる建物の種類を知りたい
・実際の土地活用のプランを提示してほしい
・ハウスメーカー
・工務店
・デベロッパー
・設計事務所
・土地活用方法ごとの専門業者
・複数の不動産会社に土地活用プランを一括で請求したい・土地活用プランの一括請求を扱う会社
・土地活用後の税金対策について相談したい・税理士
・土地活用の資金計画に問題がないか相談したい・ファイナンシャルプランナー(FP)
・金融機関
・土地の相続について相談したい
・土地の売買契約について相談したい
・弁護士
・不動産の登記をしてほしい・司法書士

3. まずは不動産関係会社に相談する

土地活用について相談するのであれば、まずは不動産関係の会社に相談するのがおすすめです。ただ、不動産関係の会社にも様々な種類があります。それぞれの特徴や強みを把握した上で相談先を選ぶようにしましょう。

(1)ハウスメーカー・建築会社

ハウスメーカーや建築会社は、戸建住宅・アパート・マンション等の設計・建築を行う企業のことです。企業によっては医療・福祉施設や商業施設などの建築にも対応しています。それぞれの企業には、木造や鉄骨など得意とする構造があります。

ハウスメーカーの特徴
  • 提案メニューが豊富
  • 一定水準の高い品質・信頼性の高さ
  • 経営プランや返済プランも相談できる
  • 不動産の管理まで相談できる
  • 入居者を集客しやすいブランド力
  • 施工期間が比較的短い
  • 建築資材コストが比較的安く済む
  • 保証期間やアフターサービスが充実している

ハウスメーカーの商品は規格化されていることが多く、オリジナリティに欠ける場合もありますが、その分、設計の失敗リスクは低く、安定したプランが選べる点がメリットとなります。

ハウスメーカーはグループ内に管理会社や不動産会社を持っていることが多いのも強みです。そのため、設計や建築だけでなく、竣工後の管理業務も含めてワンストップで対応できる体制を整えている企業がほとんどです。これは、時間や労力を効率的に節約したい利用者にとって心強いポイントといえるでしょう。

ハウスメーカーに相談すべき人
  • アパートやマンションの経営を検討している人
  • 立地の良い土地を所有している人
  • 建築後の管理業務も一括して依頼したいと考えている人


◼️ 代表的なハウスメーカー

住友林業積水ハウス旭化成ホームズ
大東建託ミサワホーム三井ホーム 等

(2)工務店

工務店とは、建築主の要望や条件に応じて建物の設計・施工を行う建築業者のことです。工務店の多くは、比較的狭い営業エリア内で地元に密着した活動を行っています。

特に、木造住宅やアパートの建築において実績を持つ工務店が多く、自然素材を活用した温かみのある建物を希望する場合には最適な選択肢となるでしょう。

工務店の特徴
  • 地域に密着しており、そのエリアの詳しい状況やニーズを把握している
  • 狭小地や変形地など、限られた条件の中でも柔軟な設計や施工を提供できる
  • 柔軟な対応が期待できる
  • 施工実績やノウハウが豊富
  • 変形地や狭小地など難しい立地の土地でも対応できる

工務店が得意とするのは比較的小規模な建築で、大規模なアパートや木造三階建て以上の建物に関しては実績が少ない場合があります。

また、施工期間がハウスメーカーと比べて長引くこともあるため、時間的に余裕を持った計画が必要です。

工務店に相談すべき人
  • 自分好みの建物、こだわるのある建物を建築したい
  • 地域密着の会社に依頼したい
  • 木造戸建住宅の建築を検討している

(3)デベロッパー

デベロッパーは、主に土地や街の企画・開発を行っている企業です。大規模なマンションやビルの建築する活用方法を検討している際の相談先として適しています。

規模の大きな土地活用を検討している方は、デベロッパーに相談することで、土地活用の選択肢も広げることができるでしょう。

その一例として、「等価交換」の仕組みがあります。等価交換は、オーナーが建築費を負担することなく、デベロッパーがマンションやビルを建設し、その土地の価格に見合う所有権を取得する方法です。

反対に、需要の見込めない田舎の土地や、町中の狭小地などを活用したい方にとっては、最適な相談先とは言えないかもしれません。

デベロッパーに相談すべき人
  • 広い土地を持っている
  • ビルやマンションの経営を検討している
  • 大通り沿いの目立つ場所に土地を持っている

(4)駐車場・コインランドリー・太陽光発電などの専門運営会社

土地活用の方法として、駐車場経営・コインパーキング経営、コインランドリー経営、太陽光発電などを検討されている場合は、ハウスメーカーではなく、専門の会社に相談した方が良いでしょう。

専門の運営会社に相談すべき人
  • 希望する土地活用の方法がすでに決まっている人
  • 狭小地や傾斜地など、住居としての活用が難しい土地を所有している
土地活用方法代表的な企業・サービス名
駐車場
コインパーキング
タイムズ24
三井のリパーク
アップルパーク 等
コインランドリー株式会社エムアイエス(マンマチャオ)
WASHハウス株式会社(WASHハウス)
株式会社センカク(コインランドリーピエロ)
株式会社プライムランドリーソリューションズ(コインランドリーデポ)
トリオマネジメント株式会社(ジャンボランドリーふわふわ)
株式会社Fujitaka(ホワイトピア)等
太陽光発電日本エコシステム 等
トランクルームエリアリンク株式会社
加瀬倉庫 等
自動販売機設置コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社
アサヒ飲料株式会社
サントリービバレッジサービス株式会社 等

(5)土地活用プランの一括請求を扱う不動産会社【無料相談】

土地活用を初めて検討されている方の中には、「そもそも自身が所有する土地に適した土地活用方法がわからない」という方も多くいらっしゃいます。

また、大手不動産会社の意見も、比較的小規模な工務店の意見も聞いた上で、比較検討したいという方も多いと思います。

そのような方は、いきなり特定のハウスメーカー等に相談するのではなく、タイプの違う企業を含めた複数の企業に、土地活用のプランを提示してもらうことをおすすめします。

そうすることで、より多くの収益が得られたり、自分に合った土地活用プランに出会える確率も高くなるからです。

もちろん、土地活用プランの一括請求無料で利用できます。おすすめの一括請求サービスは下記の記事で紹介しています。

4. 市役所など自治体の相談窓口を利用する

相続で土地や空き家を取得したものの、「何をどうすればいいのかわからない」と困ってしまったときは、まずはその土地が存在する市役所や区役所に相談してみるのも一つの選択肢です。

自治体によっては、相続した土地や建物に関する相談窓口を設けていることもありますので、事前に調べてみましょう。

市役所の都市計画課などでは、対象となる土地が「市街化区域」にあるのか「市街化区域以外の場所」にあるのかや、「アパートを建てられるのか」といったことを聞くこともできるでしょう。

このような情報が得られれば、所有する土地で実現可能な活用方法も絞られてきます。

また、自治体では、土地の活用方法に関するセミナーや相談会を開催していることもあります。こうしたイベントに参加することで、専門家から直接話を聞いたり、土地活用の可能性を広げるための新たな視点を得ることができるかもしれません。

5. 税金・資金などのお悩みはお金の専門家に相談する

税金や資金繰りなどのお金のお悩みは、お金の専門家に相談しましょう。

(1)税理士

税理士は、その名の通り税金の専門家です。相続等により発生する税金に関する相談をすることができます。

例えば、「土地を含む遺産を相続する際にどれくらいの税金が発生しそうか」「土地活用をすることでどれくらいの節税効果がありそうか」といったことを相談します。

ただし、すべての税理士が相続税に詳しいわけではない点には注意が必要です。中小企業の確定申告をメインに行なっている税理士事務所などは、不動産や相続の税務を行なった経験がないこともあります。

相続税について相談したい場合は、その分野に精通している税理士に相談するようにしましょう。

なお、土地活用を手掛ける建築会社やハウスメーカーであれば、提携している税理士を紹介してくれることもあります。

(2)ファイナンシャルプランナー(FP)

ファイナンシャルプランナー(FP)は、税金・相続・金融・保険などの幅広い知識を持つ専門家です。

特に、資産状況からしてどのような土地活用が適しているのかや、土地活用の資金計画の妥当性を確認したい場面に適した相談先といえます。

税理士と同様に、一部のハウスメーカーや建築会社には、ファイナンシャルプランナーが在籍していることも多く、土地活用の提案と併せて相談できることがあります。

(3)金融機関(銀行・信用金庫)

金融機関では、土地活用や相続に関する専門的な相談を受け付けていることも多く、土地活用を考えたときの有力な相談先となります。

銀行や信用金庫とのつながりを持っておけば、いざ土地活用を始めることになったときに融資をしてもらえることもあります。

ただし、土地活用を検討し始めたばかりの段階で、いきなり何のつながりもない金融機関に相談しにいくことは一般的ではありません。まずは不動産会社等に土地活用のプランを提示してもらうことから始めた方が良いでしょう。

6. 相続などの法的な問題は弁護士に相談する

相続により土地を取得する予定である場合など、法的な問題が生じる場合は、法律の専門家である「弁護士」に相談します。例えば、弁護士は次のような業務を行うことができます。

弁護士ができることの例
  • 遺産分割の内容に関する交渉
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続時に揉めたいための遺言書の作成
  • 遺留分侵害額請求(または請求された際の対応)
  • 不動産に関する契約書の作成や内容のチェック
  • 相続放棄の手続き

土地活用そのものに関する相談というよりは、相続や売買などで活用対象となる土地を取得する場面で登場することが多いでしょう。

法律事務所によっては「初回無料相談」を実施していることもありますので、気軽に相談してみてください。

7. 不動産登記は司法書士に相談する

土地の相続登記を行う場合や、売買による所有権移転登記を行う場合には、登記の専門家である「司法書士」に相談をします。

登記手続きは自分で行うこともできますが、スムーズかつ安全に手続きを行うためには、プロにお願いした方が良いでしょう。

なお、相続登記は、2024年(令和6年)4月1日から義務化されていますので注意してください。

正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条1項、76条の2第1項)。

遺産分割(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります。

参考:法務省|相続登記の申請義務化に関するQ&A

8. 土地活用の相談をする際の注意点

土地活用の相談をする前に、最低限の注意点を押さえておきましょう。

(1)相談先の特徴を知っておく

ここまで紹介したように、それぞれの相談先には特徴や強みがあります。「建築業社」といっても、木造の戸建住宅を得意としている地域密着型の企業から、全国展開しているハウスメーカーまで、規模や特徴は様々です。

各社の特徴や強みを事前に理解しておくことで、土地活用の計画を効率よく進めていくことができるでしょう。

また、税理士や弁護士等の専門家にも、得意分野や注力分野があります。自分が相談したいことをある程度整理した上で、その分野に精通している専門家を選ぶようにしましょう。

(2)所有する土地について説明する準備をしておく

土地活用について相談をする際、専門家から有益なアドバイスを受けるためには、前提として自身が所有する土地の情報をしっかりと共有する必要があります。

当然ながら、共有する情報の精度が高いほど、得られるアドバイスの精度も高くなります。できる限り客観的な資料をもとに土地について説明できるようにしておきましょう。

ここでいう「説明」とは、”口頭で上手に喋ることができる”という意味ではありません。次のような書類を共有するだけでも十分に役立ちますので、できる限り相談前に揃えておくようにしてください。

必要書類の例取得方法
土地の権利書土地の所有者が保管している
登記簿謄本法務局で取得する
測量図法務局で取得する

上記の書類の他にも、土地の周辺環境・地形・用途地域などについても、あらかじめリサーチしておくと良いでしょう。

例えば、近隣にある施設や交通アクセスの状況、地域の需要や将来的な発展可能性など、土地活用のポイントとなりそうな事項を整理しておくと、より有益なアドバイスが得られるかもしれません。

(3)土地活用の目的や希望を整理しておく

土地活用を成功させるためには、まずは自身の目的や希望を明確に整理しておくことが重要です。

例えば、収益を最大化したい、家族のために将来的な資産として保持したい、または相続問題に備えたいなど、それぞれのニーズによって適切な活用方法は異なります。

この段階で目的・目標をはっきりさせることで、適切な選択肢を検討できるだけでなく、後々「こうなるはずじゃなかった」となってしまう事態を防ぐことにも繋がります。

(4)複数の会社に相談して土地活用プランを比較する

繰り返しになりますが、不動産会社等に土地活用プランを提示してもらう際は、複数の会社に依頼するようにしましょう。

1社だけに相談して土地活用を始めてしまった後に、「もっと良い活用方法があったのに・・・」と後悔しても、後戻りできないからです。

また、複数の会社に相談して比較することで、

  • 資金計画の詰めが甘い
  • サポートの姿勢が希望に合わない

など、依頼を避けた方が良い会社を洗い出すこともできます。

各社で強みや特徴も異なりますので、複数の会社に相談して土地活用プランを比較することをおすすめします。

9. まずは土地活用プランの一括請求から始める【無料】

土地活用初心者の方は、自身であれこれ考えるよりも、プロに相談して意見を聞いてみるのが圧倒的に効率的です。

プロの意見を聞いてみることで、現実的な収益の見込みやリスクを知ることができます。それだけでなく、自分では思い至らなかった魅力的なアイデアを発見できるかもしれません。

土地活用のプロに、土地活用のプランを提示してもらうのでれば、無料で一括請求をするのが圧倒的に便利で効率的です!各社のプランを見比べて、土地活用のイメージをより具体的にしてみてはいかがでしょうか。

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