相続した土地の活用方法として人気の高い「駐車場経営」。そんな駐車場経営ですが、「初期費用が比較的安く済む」「運営の手間があまりかからない」という利点がある反面、失敗のリスクやデメリットも存在します。
この記事では、相続した土地の活用方法として駐車場経営を検討している方のために、駐車場経営の基本知識やメリット&デメリット、成功のポイントなどを解説します。
※ 本記事の監修者が監修しているのは土地活用に関する解説部分であり、監修者が特定のサービスを推奨するものではありません。
1. 土地活用としての駐車場経営とは?
相続などで手に入れた土地があるけれど、使い道が分からず放置してしまっているという方も少なくありません。土地や空き家は相続したまま放置していても毎年固定資産税などがかかり、経済的に損をしてしまいます。
そのような方は、何かしらの形で土地を有効活用し、収益を得るのがおすすめです。所有している土地を活用して、収益化することを「土地活用」と呼びます。数ある土地活用方法のなかでも、駐車場経営は初心者でも比較的手軽に始めやすいという特徴があります。
一方で、駐車場にもいくつかの種類があります。どのような種類があなたに合っているのかは、土地活用の目的や立地などによって異なります。
「初めて土地活用を検討している」という方は、まず、駐車場経営の種類や経営方式の違いを知ることから始めてみましょう。
2. 駐車場経営の種類
まずは、駐車場経営にどのような種類があるのか、ざっくりとで構いませんので理解しておきましょう。
(1)経営方式の違い
まず、駐車場は「月極駐車場」と「コインパーキング」の大きく2種類に分けることができます。それぞれの特徴は次のとおりです。
■駐車場の種類
駐車場の種類 | 特徴 |
---|---|
月極駐車場 | 利用者と月額を定める形で契約する |
コインパーキング | 時間ごとの料金設定 利用者は不特定多数となる |
・月極駐車場
月極駐車場は、契約した利用者から、一定の賃料を月ごとに収集して運営する方式です。
月極駐車場のメリットは、契約者がいる限り安定した収入を得られる点です。特に地域の需要が高い場合、契約期間が長期にわたることが多いため、安定した経営を行えます。
また、コインパーキングに比べると、設備にかかる費用を安く抑えられるため、初期投資が少なくて済むのも大きな魅力です。
一方で、契約者がいない限り収入が得られないというリスクがあるため、立地の選定や集客施策が欠かせません。
・コインパーキング
コインパーキングは、時間単位で一時的に利用できる駐車場で、突発的な訪問者や短時間の利用者に向いています。
コインパーキングのメリットは、需要の大きい場所で高い稼働率を維持できれば、高い収益を得やすい点にあります。
一方で、月極駐車場と異なり、精算機やゲートなどの設備投資が必要なため、初期費用がやや高めになることが多いというデメリットがありあます。
一般的には、住宅街なら月極駐車場、繁華街ならコインパーキングの方が需要が高いでしょう。
月極駐車場は契約者がいれば安定した収入が得られ、コインパーキングは料金設定次第では月極駐車場より高い収益性を得られることもあります。
コインパーキング経営についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
(2)管理方式の違い
駐車場経営は管理方式によって分類することもできます。管理方式には、「一括借り上げ方式」「管理委託方式」「自主管理方式」の大きく3つの種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
・一括借り上げ方式
一括借り上げ方式は、所有する土地(駐車場)を専門業者に貸し、その業者が駐車場を全面的に経営する仕組みです。
土地所有者は、借主である企業から月々の賃料を受け取ります。代表的な企業として、「三井のリパーク」や「タイムズ24」などがあります。
一括借り上げ方式では、土地の所有者は企業に土地を貸し、その賃料を受け取るだけですので、初期投資はほとんど無く、経営の負担もありません。土地の所有者は、駐車場の運営にかかる煩わしい手続きや管理業務から解放されるため、手間がかからないというのが最大のメリットです。
ただし、収入は実際の売上に左右されない固定賃料ですので、駐車場の経営が上手くいって売上げが大きくなっても、土地所有者に利益はありません。
手間がほとんどかからない分、リターンも少ない経営方式となります。
・管理委託方式
管理委託方式は、自身が駐車場の経営を行うものの、駐車場の運営は外部の業者に任せるという方法です。
管理委託方式のメリットは、オーナー自身が運営の負担から解放される点にあります。トラブルが発生した場合の対応や集客施策も専門の業者が行うため、日々の手間が大幅に軽減されます。
また、専門的なノウハウを持つ管理会社からアドバイスを受けられることもあるため、より効果的な運営が期待でるでしょう。
一方で、外注をすれば委託料(手数料)が発生するため、自主管理方式に比べれば自身の取り分は減ることになります。
・自主管理方式
自主管理方式は、オーナー自身が駐車場の管理や運営を行う方法です。他社に頼らない分、全ての収益を自身の取り分として手に入れることができるのが最大のメリットです。
一方で、駐車場経営は、日々の管理業務やトラブル対応など、面倒な作業も少なくありません。このような業務も全て自身で行うとなると、時間や労力の面で負担を感じることもあるでしょう。
自主管理方式では、上記のような一連の業務を全て自身で行うことになるため、オーナーには一定の経営スキルと時間的な余裕が求められます。
自主管理方式を成功させるためには、事前にしっかりとした計画を立て、運営方法や業務フローを明確にしておくことが重要です。
3. 土地活用で駐車場経営をするメリット
土地活用には様々な方法がありますが、その中から「駐車場経営」を選択するメリットはどのような点にあるのでしょうか。ひとつずつ確認していきましょう。
(1)安定した収入が見込める
駐車場経営の特徴として、安定した収入が見込めるという点が挙げられます。
特に、月極駐車場においては、アパート経営などと同じようなイメージで、契約者がいる限り安定した収入が期待できるでしょう。
もちろん、コインパーキング経営でも立地によっては安定した収入を期待できます。
(2)初期費用が比較的安くて始めやすい
駐車場経営の魅力の一つに、初期費用の安さが挙げられます。特に、月極駐車場では、特別な設備を必要とせず、備品や機器の導入が少ないため、コインパーキングと比べても初期投資が抑えられます。
コインパーキング経営では精算機などの機器の導入に一定の費用はかかりますが、建物の建築は不要です。アパート経営などの他の土地活用方法と比べれば、初期費用はやはり安い部類に入ります。
また、一括借り上げ方式での経営であれは、初期費用はほとんど必要ありません。
■駐車場経営にかかる初期費用の目安
初期費用 (月極駐車場) | アスファルト舗装:約5,000円/㎡ |
初期費用 (コインパーキング) | アスファルト舗装:約5,000円/㎡ 精算機:40万〜50万円(設置費用別) ロック板:約10万円/台 照明・看板・防犯カメラの設置:約70万円 |
(3)狭い土地でも収益化できる
駐車場経営には、狭い土地や日当たりの悪い土地など住居に向かない土地でも運営できるというメリットがあります。
住居を建てられない、あるいは、住居を建てても魅力的な物件にはならなそうな場合は、コインパーキングや月極駐車場の経営も検討しみると良いでしょう。
都市部など土地の面積が限られている地域でも、巧妙にスペースを利用することで経営が成り立つことがあります。
(4)土地活用方法の切り替えが容易
駐車場経営には、建物がなく初期費用も安いため、他の活用方法への転用がしやすいというメリットもあります。
例えば、ひとまず駐車場経営をしてみて、数年後にアパートや商業施設の建設に切り替えることも容易です。
土地活用方法の選択肢を柔軟に変更できることは、失敗のリスクを軽減できることを意味しますので、精神的な面でもメリットとなるでしょう。
4. 土地活用で駐車場経営をするデメリット&リスク
駐車場経営には多くのメリットがある一方で、デメリットやリスクも少なくありません。具体的に駐車場経営のどのようなデメリットとリスクが存在するのでしょうか。順に見ていきましょう。
(1)利用者がいないと収入を得られない
月極駐車場にしても、コインパーキングにしても、駐車場の利用者がいなければ収入が得られません。アパート経営などでいう”空室のリスク”と同じようなイメージです。
駐車場の収益は利用者の存在に依存しています。特に月極駐車場は、契約者がいなければ全く収入を得ることができませんので、いかに契約者を確保するかが勝負になります。
ただし、「一括借上方式」であれば、売上によらず固定額の賃料を得られますので、上記のようなリスクは回避できます。
(2)高収益は見込めない
駐車場経営は、少ない初期費用で気軽に始められる分、高収益を期待するのは難しいというデメリットがあります。
住居やオフィスを貸す際の賃料と違い、駐車場の利用料金は基本的に低額です。また、駐車場は基本的に平地であり、ビルのように縦の空間を最大限使えるわけではありません。そのため、アパートやマンション経営のような高収入は期待できないのです。
とはいえ、土地の広さや立地によっては、毎月数十万円〜100万円以上の利益を得られるケースもあります。
(3)税金の負担は比較的大きい
駐車場経営は税制上の優遇措置はあまり期待できません。
というのも、土地の所有者に毎年課税される「固定資産税」と「都市計画税」は、所有している土地の上に建物がある方が、特例措置(住宅用地の特例)が適用されて安くなることがあります。
この「住宅用地の特例」を使って税制上の優遇措置を享受できる点は、アパート経営やマンション経営のメリットの一つなのですが、駐車場経営ではそれができないのです。
東京都内など土地評価額が高い(=固定資産税が高い)エリアでは、固定資産税等の税金が駐車場経営を圧迫してしまう事例もあるようです。
相続税に関しても、アパート経営などに比べると、不動産の時価と相続税評価額のギャップが生じにくいケースが多いことから、大きなメリットは期待できないと考えて良いでしょう。
このように、土地活用の目的が主に” 税制上の優遇措置を享受すること”である方にとっては、駐車場経営が最適な方法ではない可能性があります。
5. 駐車場経営を始めるまでの流れ
ここまで、駐車場経営のメリット・デメリットについて解説しました。ここからは、駐車場経営に興味を持たれた方のために、駐車場経営を始めるにはどのような手続きが必要なのか解説します。
(1)市場調査・収支計画
その土地に駐車場としての需要があるのか、初期費用や運営にどれくらいのお金がかかり、毎年の売り上げはどれくらい見込めるのか、といったことを事前に調べます。
自力で精度の高い調査や計画をするのは難しいので、駐車場経営を専門的に扱っている業者とお願いすることになるでしょう。
まずは土地活用プランの一括請求サイトなどを利用して、簡易的な市場調査や収支計画の作成をお願いすることから始めてみましょう。
(2)土地を整備する
まず、駐車場経営を始めるには土地を駐車場用に整備する必要があります。アスファルト舗装や砂利敷き、コンクリート舗装などで土地を舗装します。整地が完了したら、駐車区画のライン引きや車止めの設置、敷地周りのフェンスの設置などを行います。
月極駐車場の場合は、契約者募集の看板の取り付けなどの準備も必要となるでしょう。コインパーキングの場合は、精算機などの設置も行います。
(3)契約者の募集と契約(月極の場合)
月極駐車場の場合は、契約者を募集しなければなりません。利用者の募集は、自分で募集する方法と業者に依頼する方法の2つが考えられます。
自分で募集する方法では、駐車場敷地内に募集看板やのぼりを設置したり、チラシを配ったりなどして集客をします。また、自分で駐車場の検索サイトに登録するなどして利用者を集めても良いでしょう。
(4)駐車場の管理・運営
自身が管理する方式で駐車場経営を行うのであれば、駐車場の点検や清掃は定期的に行うようにしましょう。
精算機や照明に異常がないかを確認したり、ごみ拾いや草むしりなどの清掃を定期的に行うことで、運営上の問題点に早く気付けることもあります。
また、駐車場内での事故などのトラブルに必要な範囲で対応するのも大切な業務です。
6. 駐車場経営の成功のポイント
ここからは、駐車場経営を成功させるための具体的なポイントや、失敗しないための注意点について解説します。
(1)需要のある場所かどうかが一番重要
駐車場経営において最も重要なのは、そのエリアに駐車場の需要があるかどうかです。需要がなければ、どれだけ素晴らしい駐車場を作っても利益が出ませんので、まずは需要の把握が先決です。
特に、相続した土地を活用する場合には、場所を自由に選ぶことはできません。その土地を駐車場にしたとして、どのような利用者がどれくらい利用してくれるのかを予測する必要があります。
このような事前の調査を「市場調査」といます。方法は様々ですが、周辺エリアの人口動態、交通量の統計データ、既存駐車場の稼働状況などを分析するなどして調査を行います。
初心者の方が自力で精度の高い市場調査を行うのは現実的ではありませんので、土地活用プランの請求などを通じて、実績豊富な企業に市場調査を行なってもらいましょう。
(2)価格設定は周辺相場を基準に
駐車場経営の成功には、適切な価格設定が欠かせません。料金が高すぎると利用してもらえませんし、安すぎると収益が少なくなってしまうからです。
もっとも効果的な方法は、周辺の駐車場の料金を参考にすることです。たとえば、コインパーキングであれば、リパークやタイムズといった大手パーキング業者の料金設定を参考にすると、自身の駐車場の料金設定の基準が見えてくるでしょう。
(3)複数の会社からプランを取得して比較する
駐車場経営に限らず、土地活用を検討し始めたなら、まずは所有する土地の情報をもとに、土地活用のプラン(見積もり)を作成してもらうことから始めてみましょう。
このときやってはいけないことは、「一社だけに相談すること」です。
なぜなら、各企業によって持っているノウハウや実績が異なりますし、同じ「駐車場経営」でも収支計画の数字にも違いが生じるからです。
「自分の土地や目的に一番適している駐車場の種類や経営方式がどれなのか」は、複数の提案を比較してみないとわからないものです。もしかしたら、駐車場以外の方が収益を得られるかもしれません。
とはいえ、複数の企業を自力で探し、一件ずつ個別に問い合わせ、毎回同じようなことを説明するのは骨の折れる作業です。
そこで、土地活用の「一括プラン請求サービス」を使って、複数の大手建築会社から一度に「土地活用プラン」を入手し、比較するのです。
もちろん無料で利用できますし、何より自身の貴重な時間や労力を無駄にしないで済みます。
プランを請求すれば、該当エリアの市場調査をもとに、需要状況や適切なターゲット層の絞り込み、経営方式、収支計画を提案してくれるなど、自力では困難な作業も代わりに行なってくれます。
土地活用の最初の一歩として「一括プラン請求サービス」を使って多くの提案を受け、印象の良かったプランについてより詳しく相談していく・・・という流れで進めていくと効率的です。
検討不足のままなんとなく駐車場経営を開始したあとに「もっと他の提案を受けておけば良かった」と後悔しないようにしましょう。
7. 駐車場経営以外の土地活用方法は?
ここまで「駐車場経営」について解説してきましたが、それ以外にも、土地活用には様々な方法があります。
ここからは、駐車場経営以外に人気の高い土地活用方法をご紹介します。近年人気が高まってきた活用方法もありますので、ぜひ参考にしてください。
(1)アパート・マンション経営
マンション経営・アパート経営は、土地上にアパートやマンションを建築し、賃料等を収入源として活用する方法です。土地活用の中でも”王道”といえる活用方法です。
高い収益が期待できるという利点がある一方で、建設費用が高額であるため、初期にまとまった資金が必要になるというデメリットもあります。
多くの方は、数千万円〜数億円の借入を行い、賃料収入の一部でローンの返済をしていくことになるでしょう。
(2)太陽光発電
太陽光発電は、農地や未利用地を有効活用して新たな収入を得る手段として人気の活用方法です。特に、田舎の土地で他に活用法を見出せないケースでも収益化できるという魅力があります。
初期投資が必要であるものの、売電収入を通じて安定した収益源を確保することができ、なおかつ再生可能エネルギーの利用を促進する点も大きな利点です。
(3)トランクルーム経営
トランクルーム経営は、近年注目されている土地活用方法です。物品の保管スペースを提供し、その賃料を収入源とします。
自宅が狭くて収納スペースが不足しがちな都市部を中心に需要が高まっており、近年増加傾向にあります。
初期投資が比較的安く、運営管理も容易である点がトランクルーム経営のメリットです。
(4)コインランドリー経営
住宅街などの地域では、コインランドリーでの土地活用も考えられます。洗濯機や乾燥機の利用料を収入源とする方法です。開始時には、機材の購入などで初期投資が必要となります。
狭小地でも立地がよければ収益が上がる点や、無人で経営できるため管理の手間が少ない点が魅力です。
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ここまでお読みいただいた方の多くは、「自分が相続した土地や建物に最適な土地活用方法は何だろう?」とお悩みなのだろうと思います。
土地活用の初心者の方は、自身であれこれ考えるよりも、プロに相談して意見を聞いてみるのが効率的です。
プロの意見を聞いてみると、自分では思い至らなかった魅力的なアイデアを発見できるかもしれません。
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