相続放棄をする際には、戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍・戸籍附票・住民票除票等の必要書類を取得しなければなりません。この記事では、これらの書類の取得方法を説明します。
1 戸籍謄本等の取得方法と請求先一覧
書類 | 取得方法 | 請求先 |
---|---|---|
戸籍謄本 | ・役所に出向く ・郵送で請求 ・コンビニで取得 | 対象者の本籍地がある役所 |
除籍謄本 | ・役所に出向く ・郵送で請求 | 対象者の本籍地がある役所 |
改正原戸籍 | ・役所に出向く ・郵送で請求 | 対象者の本籍地がある役所 |
戸籍附票 | ・役所に出向く ・郵送で請求 ・コンビニで取得 | 対象者の本籍地がある役所 |
住民票除票 | ・役所に出向く ・郵送で請求 | 被相続人の最後の住所地の役所 |
以下、各書類の意味や取得方法について順番に解説していきます。
2 戸籍謄本の取得について
(1)戸籍とは
「戸籍(こせき)」とは、生まれたことや、結婚したこと、亡くなったことなど、個人の一生が記録されている身分証明書のことです。戸籍は、夫婦とその子どもの親子二代の身分関係をひとつの単位として成り立っています。
(2)戸籍に掲載されている内容
戸籍には、以下のような情報が記載されています。
※法改正により、戸籍に「氏名の読み仮名」も記載されるようになる予定です。
(3) 戸籍謄本の取得方法は大きく3つ
戸籍謄本(こせきとうほん)は、本籍地のある市区町村役場に対して申請をして取得します。その他、郵送やコンビニで取得する方法もあります。
ア. 直接役所に出向いて取得する方法
本籍地の役所に出向き、窓口で申請します。
役所に置いてある交付申請書に氏名・本籍地・必要枚数などを記入して提出します。
一般的には下記のものが必要となりますが、可能であれば事前に役所のウェブサイトを見て必要なものを確認しましょう。
取得方法でわからない点があるときは、役所の担当者に聞けば教えてもらえます。
イ. 郵送で取り寄せる方法
本籍地の役所が遠方の場合や、役所に出向く時間がない場合には、郵送で取得することもできます。
必要書類や手数料の金額は役所によって異なる場合もありますので、詳細は役所のウェブサイトを確認するようにしましょう。
ウ. コンビニで取得する方法
コンビニ交付を導入している市区町村であれば、戸籍謄本をコンビニで発行することができます。 すべての市区町村で導入しているわけではないので注意してください。
3 除籍謄本の取得について
(1)除籍謄本とは
除籍謄本(じょせきとうほん)とは、その戸籍に記載されている人が、結婚や死亡などの事情で、全員いなくなった戸籍の謄本(写し)のことです。
(2)除籍謄本の取得方法
現在、除籍謄本はコンビニで取得することができません。
したがって、
- 直接役所に出向いて取得する方法
- 郵送で取り寄せる方法
のいずれかの方法で取得します。
基本的な取得方法は戸籍謄本と同様ですが、手数料の金額などが異なるのが一般的です。
詳細は、役所のウェブサイトを確認しましょう。
4 改正原戸籍の取得について
(1)改正原戸籍とは
改正原戸籍(かいせいげんこせき)とは、現在使用されている新様式の戸籍に作り替える前の、古い様式の戸籍のことです。
直近では平成6年に戸籍事務のコンピュータ化に応じた改製がされました。このコンピューター化される前の戸籍が「改製原戸籍」と呼ばれます。現在の戸籍謄本とは違い、手書きかつ縦書きで記載されているのが特徴です。
相続放棄の手続きで、「亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要」とされている場合には、改正原戸籍も含めた全ての戸籍を取得する必要があります。
(2)改正原戸籍の取得方法
現在、改正原戸籍はコンビニで取得することができません。
したがって、
- 直接役所に出向いて取得する方法
- 郵送で取り寄せる方法
のいずれかの方法で取得します。
基本的な取得方法は戸籍謄本と同様ですが、手数料の金額などが異なるのが一般的です。
詳細は、役所のウェブサイトを確認しましょう。
5 戸籍附票の取得について
(1)戸籍附票とは
戸籍附票(こせきふひょう)とは、新しく戸籍を作った(本籍を定めた)時以降の住民票の移り変わりを記録したものです。戸籍簿とセットで本籍地の市区町村で管理されています。
(2)戸籍附票の取得方法
戸籍謄本と同様に、本籍地のある市区町村役場に対して申請をして取得します。
6 住民票除票の取得について
(1)住民票除票とは
住民票除票(じゅうみんひょうじょひょう)とは、転出や死亡などで除かれた住民票のことです。「除票」は主に、かつて住んでいた(住民登録をしていた)住所地や、その方が死亡していることなどが記載されています。
(2)住民票除票の取得方法
現在、住民票除票はコンビニで取得することができません。
したがって、
- 直接役所に出向いて取得する方法
- 郵送で取り寄せる方法
のいずれかの方法で取得します。基本的な取得方法は住民票の写しと同様です。詳細は役所のウェブサイトで確認しましょう。
7 戸籍謄本等の取得を弁護士に任せることも可能
弁護士に相続放棄の手続きを依頼した場合、ご自身で戸籍謄本等を取得する必要はありません。
なぜなら、弁護士は、その権限で戸籍謄本等を取得することができるからです。これを「職務上請求」といいます。
ただし、職務上請求をするにしても、対象者の氏名等の情報は必要になりますので、相談時にわかる範囲で弁護士に伝えておきましょう。