相続放棄申述受理証明書とは?必要な場面、申請・取得方法、通知書との違いも解説【見本あり】

元弁護士

山内 英一

相続放棄申述受理証明書とは 相続放棄に関するコラム

相続放棄をしたことを他人に証明する「相続放棄申述受理証明書」が必要となる場面や、具体的な申請方法や費用について解説します。

1. 相続放棄申述受理証明書とは

相続放棄申述受理証明書とは、相続放棄をしたことを他人に証明するための書類です。

相続放棄が完了しても、そのことが世の中のすべての人に知らされるわけではありません。そのため、相続放棄したことを第三者に対して証明するために、裁判所で発行される「相続放棄申述受理証明書」を使用するのです。

例えば、あなたが相続放棄をした後でも、被相続人が負っていた借金の支払いを債権者に要求されることがあります。債権者からすれば、あなたが相続放棄をしたかどうかはわからないためです。

このようなとき、「相続放棄申述受理証明書」を債権者に示すことで、支払いの要求をストップさせることができます。

2. 相続放棄申述受理証明書の見本

相続放棄申述受理証明書は次のような書面です。相続放棄の事件番号や申述人の氏名、被相続人に関する情報などが記載されています。

相続放棄申述受理証明書の見本

3. 相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書の違い

相続放棄申述受理証明書と混同しやすい書類として、相続放棄申述受理通知書があります。漢字で表記すると一見同じように見えますが、証明書(しょうめいしょ)と通知書(つうちしょ)にはいくつかの違いがあります。

相続放棄申述受理通知書は、裁判所が相続放棄を受理したことを、相続放棄した人に対して通知するための書類です。

証明書と通知書は似たような書類ですが、以下のような違いがあります。

相続放棄申述受理証明書続放棄申述受理通知書
趣旨相続放棄が受理されたことを証明するための書類裁判所が相続放棄を受理したことを、相続放棄をした人に対して知らせる書類
受け取れる人相続放棄した本人
他の相続人
利害関係人
相続放棄をした本人
取得方法裁判所に申請して取得する相続放棄が受理されると自動的に送られてくる
再発行可能不可
取得費用かかる(150円程度)かからない

(1)受け取れる人

受理証明書は、相続放棄した本人だけでなく、他の相続人や利害関係人も取得することができます。

受理通知書は、相続放棄をした本人だけが受け取ることができます。

(2)手続き完了後に自動的に送られてくるか

受理証明書は、相続放棄の手続きが完了しても、裁判所から自動的に送られてくるものではありません。必要な人だけが申請して取得します。

受理通知書は、相続放棄の手続きが完了すると、相続放棄をした人のところに裁判所から自動的に送られてきます。

(3)再発行が可能か

受理証明書は再発行が可能です。ただし、発行の度に手数料は発生します。

受理通知書は再発行することができません。紛失しないようにしっかりと保管しておきましょう。

(4)取得費用(手数料)がかかるか

受理証明書の取得には手数料(収入印紙)が必要となります。手数料の金額は、1通あたり150円程度です。収入印紙は郵便局や法務局で購入できます。

受理通知書は、相続放棄が完了すると裁判所から自動的に送られてきますので、取得費用はかかりません。

4. 相続放棄申述受理証明書が必要となる場面

相続放棄申述受理証明書が必要になるのは、基本的には相続放棄申述受理通知書を紛失してしまった場合や、相続放棄した本人以外が相続放棄の事実を証明するケースと考えて良いでしょう。

例えば、次のようなケースが考えられます。

(1)債権者から支払いを請求されたとき

亡くなられた方(被相続人)が借金などの債務を負っていた場合、消費者金融などの債権者は、相続人に当たるあなたに対しても支払いを請求してきます。債権者からすると、相続放棄されたことなど知らないためです。

このように、被相続人が借り入れしていた消費者金融やカード会社などから支払いを請求されても、相続放棄をしていれば支払う必要はありません。

このとき、あなたは「相続放棄をしたので支払いません。」と債権者に伝えることになるでしょう。そうすると、債権者から「相続放棄をしていることを証明できる書類を交付してください」と求められることがあります。

「相続放棄申述受理通知書」を提示すればよいこともありますが、債権者によっては「相続放棄申述受理証明書」の交付を求めることがあります。その場合は、相続放棄申述受理証明書を取得して提示すれば良いでしょう。

なお、債権者は利害関係人となりますので、債権者自ら証明書を取得することも可能です。

(2)不動産の相続登記をするとき

相続人の中に相続放棄をした人がいて、他の相続人が不動産を取得する場面です。このとき、不動産を取得した人に登記の名義を変えるために、「相続放棄申述受理通知書」または「相続放棄申述受理証明書」が必要になります。

登記の手続きを進めるのは、相続放棄をしていない相続人でしょうから、手元に「相続放棄申述受理通知書」がないこともあります。そのようなときに「相続放棄申述受理証明書」を取得します。

なお、他の相続人は利害関係者となるので、自ら「相続放棄申述受理証明書」を取得することができます。

(3)金融機関での手続き

被相続人が保有していた銀行預金の解約・払い戻しの際に、「相続放棄申述受理証明書」を求められることがあります。

相続放棄をした人自身が、被相続人の預金を払い戻すことは基本的にありませんが、他の相続人がいる場合には、相続放棄申述受理証明書の提出が必要となることがあります。

なお、他の相続人は利害関係者となるので、自ら「相続放棄申述受理証明書」を取得することができます。

5. 相続放棄申述受理証明書の取得・申請方法

相続放棄申述受理証明書は、裁判所が公開している申請書に必要事項を記入し、その他の必要書類とともに家庭裁判所に提出することで取得できます。提出方法は郵送で構いません。

以下、具体的な申請方法や必要書類について解説します。

(1)相続放棄した本人が申請する場合

・申請先の裁判所

申請先は被相続人が最後に住んでいた市区町村を管轄する家庭裁判所です。

・必要書類

  • 申請書
  • 収入印紙(証明書1通あたり150円)
  • 返信用封筒(郵便での返送を希望する場合)
  • 返信用封筒の切手(84円~94円)

通常必要となるものは上記の通りです。

氏名・住所が申述時と異なる場合など、提出の必要がある場合には、戸籍謄本や住民票が必要となることがあります。

具体的な必要書類は裁判所や事案によって異なることがあるので、事前に裁判所に連絡するなどして確認しておくと良いでしょう。

・相続放棄申述受理証明書の申請書の書き方

申請書の書式(PDF)は裁判所のウェブサイトから取得できます。

申請書は次のように記入していきます。

申請書の書き方
  • 事件番号を記入します。「事件番号」とは、相続放棄の手続きに付された個別の番号のことです。相続放棄申述受理通知書などに記載されています。
  • 「下記の書類を 交付 してください」という部分に丸印を記入します。
  • 相続放棄申述受理証明書の必要通数を記入します。
  • 申請書の記入日、申請者の氏名、電話番号を記入し、押印します。印鑑は実印でないもので結構です。

(2)他の相続人や利害関係人が申請する場合

・申請先の裁判所

申請先は被相続人が最後に住んでいた市区町村を管轄する家庭裁判所です。

・必要書類

  • 申請書
  • 利害関係を証明する書類(申述人との相続関係がわかる戸籍謄本類・金銭消費貸借契約書・ローン契約書など)
  • 申請者の住民票(本籍地が表示されているもの)
  • 収入印紙(証明書1通あたり150円)
  • 返信用封筒(郵便での返送を希望する場合)
  • 返信用封筒の切手(84円~94円)

相続放棄をした本人が申請する場合と異なるのは、利害関係を証明する書類などが必要になる点です。

具体的な必要書類は裁判所や事案によって異なることがあるので、事前に裁判所に連絡するなどして確認しておくと良いでしょう。

・相続放棄申述受理証明書の申請書の書き方

申請書の書式(PDF)は裁判所のウェブサイトから取得できます。

申請書の内容は、相続放棄をした本人が作成する場合と違いはありません。

申請書の書き方
  • 事件番号を記入します。「事件番号」とは、相続放棄の手続きに付された個別の番号のことです。相続放棄申述受理通知書などに記載されています。
  • 「下記の書類を 交付 してください」という部分に丸印を記入します。
  • 相続放棄申述受理証明書の必要通数を記入します。
  • 申請書の記入日、申請者の氏名、電話番号を記入し、押印します。印鑑は実印でないもので結構です。

相続放棄をした本人以外の人の中には、相続放棄の事件番号がわからない方もいるでしょう。事件番号が不明の場合は、証明書の発行を申請する前に、「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」を行い確認しましょう。

「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」の手続き方法や必要書類は、裁判所ウェブサイトで確認することができます。

裁判所HP|相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会をされる方へ

(3)受理証明書は即日発行されるわけではない

裁判所に直接行って相続放棄受理証明書を申請した場合でも、即日発行されるわけではありませんので注意しましょう。

裁判所によって交付までの日数が異なることもあるので、心配な方は事前に裁判所に確認しましょう。

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