相続放棄が完了するまでの期間はどれくらい?

元弁護士

山内 英一

相続放棄にかかる期間 相続放棄に関するコラム
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Q. 相続放棄が完了するまでの期間はどれくらい?

A. 家庭裁判所に必要書類を提出してから、相続放棄の完了の通知が届くまでの期間は、3週間から1ヶ月程度です。

また、相続放棄の手続きを弁護士に依頼した場合、弁護士と契約をしてから、相続放棄の完了の通知が届くまでの期間は、1か月~2か月程度となるのが一般的です。

被相続人(亡くなった方)と相続放棄をされる方との関係を証明する戸籍が複雑な場合等は、通常よりも時間がかかりやすくなります。

1. 相続放棄の手続きの流れを整理

まずは相続放棄の手続きの流れを整理しましょう。相続放棄は、次の図のような流れで進んでいきます。必要書類を家庭裁判所に提出するところまでを3ヶ月の熟慮期間内に行う必要があります。

相続放棄の流れ

家庭裁判所に必要書類を提出してから、相続放棄の完了の通知が届くまでの期間を細分化すると、概ね次のとおりとなります。

手続き期間の目安
申述書等の提出〜照会書・回答書の受領1週間~2週間程度
照会書・回答書の受領〜回答書の提出1日〜10日程度
回答書の提出〜相続放棄申述受理通知書の受領10日程度

2. 申述書等の提出〜照会書・回答書の受領までの期間

申述書と添付資料を家庭裁判所に提出してから約1週間~2週間後に、家庭裁判所から、相続放棄をしたい方のもとに相続放棄照会書(回答書)が届きます。

「照会書」には、申立書に記入をした内容の確認や、相続放棄の申述は自身の意思かなどの確認事項が記載されているのが一般的です。

同封されている「回答書」にこれらの確認事項に対する返答を記載して、家庭裁判所に返送します。

回答書には2週間前後の返送期限が記載されているので、遅れないように注意しましょう。回答書の返送を迅速に対応すれば、その分相続放棄が完了するまでの期間を短縮することにつながります。

なお、裁判所の混み具合(担当者の忙しさ)等の事情により、裁判所の対応がやや遅れることも珍しくありません。

3. 回答書の提出〜相続放棄申述受理通知書の受領までの期間

回答書を送ってから10日前後で、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。「相続放棄申述受理通知書」は、相続放棄の申述が受理されたことを示す書面ですので、これにて相続放棄の手続きは完了です。

「相続放棄申述受理通知書」は再発行ができず、後々必要となる可能性もあるので、捨てずに保管しておきましょう。

4. 相続放棄の期間に関する注意点

(1)3ヶ月以内の期間制限に注意

相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」にしなければならなりません。この限られた期間を「熟慮期間」といいます。

熟慮期間を経過してしまった場合、原則として相続放棄をすることはできません。期限ギリギリに着手すると間に合わなくなってしまうこともあるので、余裕を持って行動しましょう。


(相続の承認又は放棄をすべき期間)
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

民法915 条1項

(2)財産調査や戸籍の取得にかかる期間も考慮する

相続放棄の準備の段階では、被相続人が保有していた財産の有無を調査したり、戸籍等を取得したりする必要があります。

財産調査には時間がかかる

故人の遺産(相続財産)を調査する場合、金融機関から残高証明書を取得したり、信用情報機関への情報開示請求をしたりします。このような調査は即日で完了するものではなく、一定の時間を要します。そのような時間がかかることも考えて行動しなければなりません。

もっとも、相続財産の有無や金額がどうであれ、相続放棄をする意思に変わりがないのであれば、相続財産は調査しなくても構いません。相続財産の内容が不明なままでも相続放棄は受理されます。

戸籍謄本などを郵送で取得する場合は注意

戸籍を郵送で取得する場合は即日発行してもらえるわけではなく、手元に届くまでに2週間程度要することもあります。このような期間も考慮して、計画的に手続きを進めなければなりません。

(3)専門家に依頼する場合もできるだけ早く行動を

弁護士や司法書士に依頼する場合、相談当日に申立てをしてもらえるわけではありません。

弁護士や司法書士にも予定がありますから、WEBサイトや電話で初回のコンタクトをとった当日に契約することも一般的には難しいでしょう。

来所する場合は日程調整が必要ですし、郵送で契約書を締結する場合には郵送にかかる期間もあります。

いずれにしても、行動は早いことに越したことはありません。専門家に依頼する場合もできるだけ早く行動するようにしましょう。

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