相続放棄はどこの家庭裁判所に申し立てる?書類の提出先や提出方法は?

元弁護士

山内 英一

相続放棄はどこの家庭裁判所に申し立てる?書類の提出先や提出方法は? 相続放棄に関するコラム

「相続放棄はどこの裁判所に申してるの?」「書類の提出先はどこ?」とお悩みの方のために、相続放棄をどこの家庭裁判所に申し立てれば良いのかについて解説します。

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Q 相続放棄はどこの裁判所に申し立てればいいですか?

A. 相続放棄の申立ては、被相続人(亡くなられた方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。書類の提出先も被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

相続放棄の手続きの流れについては、下記の記事で詳しく解説しています。

1. 相続放棄は家庭裁判所に申し立てる

相続放棄とは、相続人が、被相続人(亡くなられた方)の権利義務の承継を拒否する意思表示のことです。

相続放棄は、自己のために相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書等を提出し、それが受理されることによって認められます。

相続人間での話し合いや、念書・合意書の作成をしただけでは、相続放棄をすることはできません。

なお、相続放棄と混同しやすい概念として、遺産分割協議による「相続分の放棄」というものがあります。相続分の放棄と相続放棄は別物ですので、間違えないように注意しましょう。

2. 書類の提出先は「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」

相続放棄の必要書類が揃ったら、それらの書類をまとめて家庭裁判所に提出します。

相続放棄の手続きに必要な書類の提出先は「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」です。

どこの家庭裁判所に提出しても良いわけではありませんので注意しましょう。

3. 家庭裁判所の管轄区域の調べ方

まずは、被相続人の最後の住所地を確認しましょう。被相続人の最後の住所地は、「被相続人の戸籍の附票(ふひょう)」または「被相続人の住民票の除票(じょひょう)」から知ることができます。

戸籍の附票とは、新しく戸籍を作った(本籍を定めた)時以降の住民票の移り変わりを記録したものです。戸籍簿とセットで本籍地の市区町村で管理されています。戸籍謄本などと同じように、本籍地のある市区町村役場・役所に対して申請することで取得できます。

住民票の除票とは、転出や死亡などで除かれた住民票のことです。「除票」には、かつて住んでいた(住民登録をしていた)住所地や、その方が死亡していることなどが記載されています。住民票の除票は、被相続人の最後の住所地の役場・役所に対して申請することで取得できます。

次に、被相続人の最後の住所地を管轄している家庭裁判所がどこであるかを確認します。各家庭裁判所の管轄区域は、裁判所のホームページから確認することができます。

一点注意したいのは、家庭裁判所には「支部」や「出張所」が存在することです。地域によっては、その地を管轄するのが、家庭裁判所の「支部」や「出張所」ということもあるので間違えないようにしましょう。

例えば、東京都足立区を管轄する家庭裁判所は「東京家庭裁判所」ですが、東京都青梅市を管轄する家庭裁判所は、「東京家庭裁判所立川支部」となります。

4. 書類の提出方法は郵送でもOK

相続放棄に必要な書類は、提出先となる家庭裁判所の受付に直接持参しても良いですし、郵送で提出しても構いません。

提出先となる家庭裁判所が自宅の近くにある場合などを除き、基本的には郵送で送ることになるでしょう。

一般的な封筒に入れて送っても良いですが、弁護士等が業務で裁判所に書類を提出するときは、レターパックライトやレターパックプラスで送る人が多いように思います。

5. 相続の困りごとは弁護士に相談を

この記事では、相続放棄をどこの家庭裁判所に申し立てれば良いのかについて解説しました。
最後にポイントをまとめます。

ポイント
  • 相続放棄の書類の提出先は「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」である。
  • 被相続人の最後の住所地は、「被相続人の戸籍の附票」または「被相続人の住民票の除票」で確認する。
  • 各家庭裁判所の管轄区域は、裁判所のホームページから確認する。

提出先の裁判所を間違えてしまうと、思わぬタイムロスにもつながります。手続きの期間ギリギリで提出した場合などには、期間を過ぎてしまい相続放棄ができなくなってしまう事態にもなりかねません。提出前に、改めて提出先を確認するようにしましょう。

相続放棄の手続きに限らず、相続に関することでお困りの際は弁護士に相談することも検討してみてください。

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