相続放棄は自分でできる!手続きを自分でやる流れや費用・注意点を解説

元弁護士

山内 英一

相続放棄に関するコラム

遺産相続を拒否する「相続放棄」の手続きは、弁護士や司法書士といった専門家に依頼せずに自分で行うこともできます。この記事では、自力で相続放棄をしてみようと考えている方のために相続放棄の具体的な方法や注意点について解説します。

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1. 相続放棄を自分でやる方法・手順

まずは、手続きの全体の流れを把握しておきましょう。相続放棄は次のような流れで進んでいきます。

相続放棄の手続きの流れ

以下、順に詳しく解説していきます。各ステップの注意点や具体的な方法についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

STEP1 相続人が誰であるかを調べる

まずは相続関係を整理し、あなたが本当に相続人であるかや、あなたが相続放棄をした後に誰が相続人となるのかを確認します。

相続関係を整理するときは、手書きでも構いませんので「相続関係図」を書くのがおすすめです。手続きを進める中で改めて相続関係を確認したいときにも、相続関係図があると便利です。

”誰が相続人となるのか”という大前提を誤ったまま進めてしまうと取り返しのつかない事態に発展してしまうこともありますので、しっかりと確認しましょう。

また、不要なトラブルを避けるため、あなたが相続放棄をすることによって影響のある親族(ご兄弟や後順位の相続人など)には、事前に「相続放棄する予定である」旨連絡をしておいた方が良いでしょう。

自分の相続放棄が完了したとしても、裁判所から他の親族に対して「⚪︎⚪︎さんが相続放棄をしました。」といった通知は行われませんのでご注意ください。

相続の優先順位について改めて確認しておきたい方は、下記の記事をご覧ください。

STEP2 相続財産を可能な限り調査する

亡くなった方(被相続人)がどのような財産を持っていたのか可能な限り調査しておきます。ある程度の相続財産の調査であれば、自分ですることもできます。

ここでいう「財産」には、預貯金や不動産などの「プラスの財産」だけでなく、借金やローンなどの「マイナスの財産」も含みます。

プラスの財産とマイナスの財産

ちなみに、相続財産の調査は必須ではありません。例えば、「他の相続人と関わりたくない」という理由で相続放棄をする場合など、相続財産がどうであれ相続放棄をする意思が確定しているのであれば、相続財産は調査しなくても問題ありません

ただし、相続放棄をした後になって「やっぱり相続放棄をしなければ良かった」と思っても、基本的に覆すことはできないことは理解しておきましょう。

一般的に、相続財産は次のような方法で調査します。

財産の種類調査方法申請先等
現金被相続人の自宅を探す
預貯金や株通帳の記帳または残高証明書の発行
投資先企業からの郵便物等
各金融機関
不動産(土地・建物)固定資産税課税明細書の確認
固定資産評価証明書や名寄帳の取得等
不動産がある市区町村役場等
貴金属や宝飾品等被相続人の自宅を探す
精通者意見価格を取得する等
製造業者、販売業者、鑑定業者等
借金やローン被相続人の自宅で契約書や督促状を探す
取引履歴の取得
信用情報機関に開示請求する等
各金融機関
信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行協会)
家賃・水道光熱費・通信費
などの未払金
郵便物(請求書等)やメールの確認
家賃は不動産管理会社に確認
相続財産の調査方法

最近では、ネット銀行やネット証券口座など、外部からは発見しづらいものも存在しますので見落とさないよう注意が必要です。

また、相続財産の調査にも一定の限界があります。例えば、個人間のお金の貸し借りや保証などは、遺された書面(借用書や連帯保証契約書等)などを手がかりにして見つけるしかありません。

可能な限り調査した結果、プラスの財産が少ない場合や、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合などは、相続放棄を検討することになるでしょう。

相続財産の具体的な調査方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

STEP3 家庭裁判所に提出する必要書類(戸籍謄本等)を取得する

相続放棄をすると決めたら、必要となる書類を確認します。

家庭裁判所に提出する書類は、①全員共通で必要となる書類と、②被相続人との続柄によって追加で必要となる書類に分けられます。まずは、全員共通で必要となる書類を確認します。

① 全員共通で必要となる書類一覧

書類等備考
相続放棄申述書裁判所のウェブサイトで公開されている書式(PDF)をダウンロードして作成します。→書式や記入例はこちら
被相続人の住民票除票
または戸籍附票
被相続人の死亡時の居住地の役所
または本籍地の役所から取得します。
申述人(相続放棄をしたい本人)の戸籍謄本申述人の本籍地の役所から取得します。
収入印紙(800円分)郵便局や法務局で購入します。
郵便切手
郵便局やコンビニで購入します。
必要枚数や金額は管轄の家庭裁判所に確認します。
全員共通で必要となる書類

② 被相続人との続柄によって追加で必要となる書類一覧

次に、被相続人との続柄によって追加で必要となる書類を確認します。

被相続人との続柄必要となる添付書類
配偶者
・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
代襲相続人である直系卑属
(孫・ひ孫)
・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 
・被代襲者(被相続人の子)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
直系尊属
(父母・祖父母)
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 
・被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
兄弟姉妹・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
甥(おい)
姪(めい)
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 
・被代襲者(被相続人の兄弟姉妹)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
被相続人との続柄によって追加で必要となる書類

あなたのケースで必要となる書類を確認することができたら、取得できるものからどんどん取得していきましょう。

◼️関連記事:配偶者が相続放棄したらどうなる?子供に影響は?必要書類や手続きのポイントも解説

◼️関連記事:兄弟姉妹が相続放棄する際の必要書類についてわかりやすく解説

◼️関連記事:甥姪(おい・めい)は相続放棄できる?必要書類や期間、放棄後の注意点も解説

戸籍謄本や除籍謄本の取得方法

戸籍(除籍・改製原戸籍・附票)や住民票除票は、対象者の本籍地がある役所等から取得します。役所に直接出向く方法や郵送による方法の他、市区町村によってはコンビニで取得できるものもあります。

種類取得方法請求先
戸籍謄本・役所に出向く
・郵送で請求
・コンビニで取得
対象者の本籍地がある役所
除籍謄本・役所に出向く
・郵送で請求
対象者の本籍地がある役所
改正原戸籍・役所に出向く
・郵送で請求
対象者の本籍地がある役所
戸籍の附票・役所に出向く
・郵送で請求
・コンビニで取得
対象者の本籍地がある役所
住民票除票・役所に出向く
・郵送で請求
対象者の住所がある役所

これらの添付書類を郵送で取得していると、全て揃うまでに意外と時間がかかります。郵送の場合は、速達を利用するなどして取得にかかる時間を短縮させると良いでしょう。

なお、この書類集めが相続放棄の手続きの山場と言っても過言ではありません。戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍などを見慣れていない方は、何が何だかわからなくなってしまうこともあるでしょう。

特に、被相続人の兄弟姉妹が相続放棄をするケースや、代襲相続が発生しているケースなどは、取得する戸籍謄本が大量になることも珍しくありません。

この時点で「自分には難しそう」と感じる方は、できるだけ早いタイミングで弁護士に依頼することをおすすめします。

STEP4 相続放棄申述書を作成する

相続放棄をするには、「相続放棄申述書」と呼ばれる書面を作成して、家庭裁判所に提出する必要があります。

相続放棄申述書の書式と記入例は下記のとおり裁判所のウェブサイトにPDFファイルで公開されていますので、それを利用します。

相続放棄申述書への記入は、手書きでも手書きでなくても、どちらでも構いません。手書きで作成する場合は、下記の書式(PDF)をA4の白紙に印刷しましょう。

申述人(相続放棄をする人)が成人の場合の書式・記入例

申述人(相続放棄をする人)が未成年の場合の書式・記入例

相続放棄申述書に記載する氏名や住所地、本籍などは、取得した戸籍謄本の記載の通りに記入しましょう。

相続放棄申述書には収入印紙(800円分)を貼り付けます。収入印紙は郵便局や法務局で購入することができます。

被相続人の職業がわからない場合は、「不明」と書いておけば問題ありません。また、相続財産の概略については全てを埋める必要はなく、わかる範囲で記入すれば問題ありません。

相続放棄申述書の書き方については、下記の記事で詳しく解説しています。

STEP5 相続放棄申述書と添付書類を家庭裁判所に提出する

添付書類が全て揃い、申述書の作成も完了したら、それらの書類を全て家庭裁判所に提出します。

提出先となる家庭裁判所の調べ方

提出先は、「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」です。

家庭裁判所であればどこでも良いというわけではありませんので、間違えないようにしましょう。

各家庭裁判所の管轄区域は、下記のページ(裁判所のウェブサイト)から探すことができます。

◼️裁判所の管轄区域|裁判所

なお、地域によっては「支部」や「出張所」が提出先となることがあります。例えば、東京都世田谷区を管轄している家庭裁判所は「東京家庭裁判所」ですが、東京都八王子市を管轄している家庭裁判所は「東京家庭裁判所 立川支部」となります。

必要書類の提出方法

揃った必要書類を提出する方法は次の2通りです。

  • 郵送する
  • 管轄の家庭裁判所に直接提出しに行く

家庭裁判所に直接持参する場合には、不備があった場合にその場で指摘してもらえることがあります。念の為印鑑や身分証を持っていくと良いでしょう。管轄の家庭裁判所が近くになければ郵送で問題ありません。

郵送する場合の決まりなどは特にありませんが、書類をクリアファイルなどに挟み、レターパックなどで提出すれば良いでしょう。

STEP6 家庭裁判所から送られてくる照会書(回答書)に必要事項を記入して返送する

裁判所に書類を提出してから約1週間~2週間程度で、家庭裁判所から、相続放棄をしたい方のもとに「照会書」と「回答書」が届きます。

「照会書」には、申述書に記入をした内容の確認や、相続放棄の申述は自身の意思に基づくものかの確認等が記載されているのが一般的です。

同封されている「回答書」にこれらの確認に対する返答を記載して、家庭裁判所に返送します。

回答書には2週間程度の返送期限が記載されているので、遅れないように注意しましょう。もし遅れそうな場合は、ひとまず家庭裁判所に電話等で連絡を入れておくのが無難です。連絡先等の情報は照会書に記載されています。

照会書の見本は下記の記事で公開しています。回答書の具体的な書き方についても解説していますので、ぜひご覧ください。

STEP7 家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届く

回答書を送ってから10日前後で、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。「相続放棄申述受理通知書」は、相続放棄の申述が受理されたことを示す書面です。この通知書を受領して、相続放棄の手続きは完了となります。

なお、「相続放棄申述受理通知書」は再発行できず、後々必要となる可能性もあるので、捨てずに保管しておきましょう。

また、後述する「相続放棄申述受理証明書」とは別物ですので、両者を混同しないようにご注意ください。

STEP8 必要に応じて「相続放棄申述受理証明書」の発行を申請する

「相続放棄申述受理証明書」は、相続放棄が受理されたことを第三者に対して証明するための書面です。必要な場合に任意で取得できるものであり、裁判所から自動的に送られてくるものではありません。

先ほどの「通知書」と紛らわしいですが混同しないように注意しましょう。ここでは、単に「証明書」と呼ぶこととします。

証明書は必ず取得しなければならないものではありません。相続放棄後に求められる場面があれば、必要に応じて取得すれば問題ありません。

例えば、以下のような場面で証明書が必要となることがあります。

相続放棄申述受理証明書が必要となる場面
  • 金融機関等の債権者から支払いを求められたとき
  • 他の相続人が不動産の相続登記をするとき
  • 他の相続人が車の名義変更をするとき
  • 他の相続人が銀行預金の解約や払い戻しをするとき など

証明書は、家庭裁判所に申請書を送って取得します。

家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてきたときに、申請書が同封されていることが多いので、その申請書を使用しましょう。

申請書の記入等でわからない部分があれば、管轄の家庭裁判所に問い合わせて事前に確認し、裁判所の指示通りに行えば問題ありません。

なお、証明書を取得する場合には、手数料や郵便切手にかかる費用が数百円必要となります。

2. 相続放棄を自分でする前に知っておくべき知識

ここまでは、相続放棄の手続きを自分でする場合の具体的な方法を説明しました。ここまで解説した手順に沿って進めれば、手続き自体は自分でできるでしょう。

ここからは、手続きを進める前に知っておくべきことの中でも、特に重要なポイントをまとめてご紹介します。

(1)相続放棄の手続きにかかる費用の相場

相続放棄の費用

相続放棄の手続きを自分で進めた場合でも、1件あたり3,000円〜5,000円程度の費用がかかります。具体的な金額は取得する戸籍謄本等の量などによって変わるため、上記の金額はあくまでも目安となります。自分で手続きを進めた場合に発生する主な費用は次の表のとおりです。

書類等料金
収入印紙800円(申述人1人あたり)
戸籍謄本1通450円程度(市区町村により異なる)
住民票除票・戸籍附票1通300円程度(市区町村により異なる)
除籍謄本・改正原戸籍1通750円程度(市区町村により異なる)
郵便切手合計500円程度(裁判所により異なる)

なお、相続放棄の手続きの全てを弁護士に依頼した場合には、弁護士に支払う費用は、1件あたり5万円〜10万円程度となるのが一般的です。

費用については下記の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

(2)相続放棄の手続きには期間の制限がある

相続放棄の手続きには期間の制限があります。具体的には、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に行わなければなりません。この期間のことを「熟慮期間(じゅくりょきかん)」といいます。

起算点は、被相続人の「死亡日」ではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った時」ですので、間違えないようにしてください。

熟慮期間を経過してしまった後は、原則として相続放棄をすることはできません。相続放棄を自分でする方は、期間内に手続きを進めることができるよう、時間に余裕を持って行動することが重要です。

(3)処分行為をすると相続放棄ができなくなる

3ヶ月の熟慮期間内に手続きを行ったとしても、相続放棄をする前に一定の行為をしてしまうと、相続放棄が認められなくなってしまうことがあります。特に注意したいのが、相続財産の「処分」民法921条1号)に該当する行為です。

処分に該当する行為をしてしまうと、その行為者は「単純承認」をしたものとみなされます。これを「法定単純承認」といいます。「単純承認」とは、故人の債権債務の全てを通常通り相続することを意味します。つまり、故人が借金やローンなどの債務を抱えていた場合、それらの債務も引き継ぐことになってしまうのです。

例えば、次のような行為は相続財産の処分に該当する可能性があります。

処分に該当し得る行為
  • 被相続人の土地や建物を売却したり、解体したりする行為
  • 被相続人の預金を解約する行為
  • 被相続人が有していた債権についての取り立て行為
  • 水道光熱費・携帯電話代・未払い賃料・入院費用など、被相続人が負っていた債務について相続財産から弁済する行為
  • 被相続人が住んでいたアパートの賃貸借契約の解約や敷金の受領
  • 遺産分割協議 など

具体的にどのような行為が「処分」に該当するのかや、相続放棄が認めれない事例についてもっと詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

(4)一部の財産だけ相続放棄することはできない

相続放棄は、一切の相続財産の承継を拒否するものですので、一部の財産だけ相続放棄することはできません

例えば、「いらない不動産だけ遺産放棄して、預貯金だけ相続する」とか、「借金やローンだけ放棄して、家だけ相続する」といったことはできません。

(5)相続放棄は撤回することができない

相続放棄は、一度してしまうと後から撤回することができません。たとえ3ヶ月の熟慮期間内であったとしても撤回はできません(民法919条1項)。相続放棄の手続きは一度きりのチャンスである考え、慎重に手続きを進めてください。

詐欺や脅迫によって相続放棄をしてしまった場合など、一定の理由が認められる場合には取り消すことができますが、それも簡単に認められるものではありません。

財産調査を十分に行わずに相続放棄をした後になって、故人が保有していた多額の資産が見つかり、「やっぱり相続放棄は無かったことにしたい」と思っても撤回することができないので注意しましょう。

(6)相続放棄を生前にしておくことはできない

特定の人だけに相続をさせたい、あるいはさせたくないという理由で、生前に相続放棄できないかと考える方もいます。しかし、相続放棄を生前にしておくことはできません

生前にできる相続の準備としては、遺言書の作成遺留分の放棄などがあります。詳しくは下記の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。

3. 自分で手続きするのが難しいときは弁護士に相談・依頼する

ここまで解説したとおり、注意事項に気をつけながら一つずつ手順を踏んでいけば、相続放棄を自分で行うことも不可能ではありません。

一方で、相続放棄を受理してもらうためには、戸籍謄本等の内容を正確に読みとったり、必要書類を迅速に収集・作成したりしなければなりません。このような作業を自分でできるか不安に感じたり、忙しくして期間内に進められそうにないという方は、なるべく早いタイミングで弁護士に相談してください。

相続放棄の経験がある弁護士に手続きの代理・代行を依頼すれば、皆さんが費やす時間や労力、精神的なストレスを大きく削減してくれるでしょう。

4. 相続放棄の手続きに関するよくある質問【専門家が回答】

最後に、相続放棄の手続きに関するよくある質問をご紹介します。

Q. 弁護士に依頼した方が良いのはどんなケース?

A. 例えば、次のようなケースは弁護士に依頼した方が良いでしょう。

  • もう少しで3ヶ月の熟慮期間が経過してしまいそう
  • 相続開始からすでに3ヶ月が経過してしまった
  • 相続放棄に失敗するリスクや精神的負担を最小限にしたい
  • 被相続人に過払金がありそう
  • 申述人が未成年である
  • 自分が被相続人の兄弟姉妹や甥姪にあたり、必要書類が大量になりそう
  • 相続放棄の手続きについて自分で調べたり考えるのが面倒

Q. 手続きを自分でやるのに向いているケースは?

A. 例えば、次のようなケースは比較的難易度が低いため、自分で手続きを進める方もいらっしゃいます。

  • 申述人が被相続人の配偶者であるケース
  • 申述人である子供が未婚で、被相続人である親の戸籍に含まれているケース

このようなケースでは、「申述人(相続放棄をしたい本人)の戸籍謄本」を取得すれば、それが「被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本」を兼ねることになり、取得する戸籍謄本が1通で足ります。

集める書類が少ない分、手続きの難易度も比較的低くなるといって良いでしょう。

Q. 相続放棄の手続きを弁護士に依頼するメリットは?

A. 相続放棄の手続きを弁護士に依頼するメリットは、簡単にいうと、相続放棄に必要な手続きを丸っと任せることができるため、自分の手間や時間を無駄に費やす必要がなくなる点にあります。

必要書類の収集や作成はもちろん、家庭裁判所とのやりとりなども弁護士に任せることができます。

必要に応じて、相続財産の調査や債権者への対応等も行なってくれる事務所もありますので、相談時に確認してみましょう。

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